『君がどんなに最低でも』4 ページ25
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そろそろ、許してあげても良いかとクラスメイトと笑っていたころ。
なんとなく窓の外を見ると、2人の人影が目に入った。
不安げな表情を浮かべる女と、将吾。
何してるの?
……そんな場所で。
風に揺れる木陰に隠れた2人を、目で追って、窓枠に手をかける。
なんで2人でいるの。
離れてよ、今すぐ。
そんな私の思いは虚しく、2人は抱き合った。
背の高い将吾の背中に埋まった女。
腹の底のドス黒い感情が、留めていた決壊を壊して、溢れた。
*
バシャッと大量の水が降り注ぐ。
トイレの中、濡れた女は呆然と、された事が理解できない様子でいた。
『ははっ、きたな』
状況を把握したのか、女は焦ったようにスマホを取り出そうした。
『ねえ、いい加減にしなよ。女子に気に入られないからって、男に色目使って媚びてるの、キモいんだよ。』
恨めしそうに、こちらを睨む女。
自分の立場を自覚しない女に苛立って、スマホを蹴り飛ばした。
情けなくスマホを追いかける女は、無様で笑える。
『ただ可哀想だから優しくされてるだけ、気づきなよ。
将吾はあんたなんか…』
「なにやってんの」
女子トイレの外を見やると、そこには将吾がいた。
後ろには人だかりもできていた。
『……っ将吾!』
見られた?いつから……。
「A、最低だよ。」
そう言った将吾の顔は、軽蔑を隠すつもりのない、冷たい表情だった。
『ち、ちがう、この子が悪いの』
「知らないけど、こんな事するの、どう考えたってヤバイよ。」
『なんで、将吾!……私の味方でしょ……?』
「……味方とか、そういうんじゃないでしょ」
『その女が……っ』
「Aこそ頭冷やして、反省しなよ。
顔みたくない。」
私に目もくれない将吾。
ずぶ濡れた女の肩を抱いて、出ていってしまった。
もう、女のことなどどうでも良かった。
将吾から、再び拒絶の言葉が送られるなんて、思ってもみなかった。
今までの、どの表情よりも突き放すものだ。
その後、やっときた教師に連れられて職員室に向かう間も、親に叱られてる間も、どうでもよくて、ただ将吾の冷たい表情が頭から離れなかった。
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……To be continued
つづく
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やなぎ茶(プロフ) - ayuさん» 本当ですか〜❣️嬉しくてあったかいお言葉ありがとうございます😭がんばります! (11月13日 22時) (レス) id: 5b37ec5afa (このIDを非表示/違反報告)
ayu - やなぎ茶さん» なるほど😮💡了解です👍🏻 ̖́-︎亡霊、拝見させていただいています!やなぎ茶様のペースで更新頑張ってください🥹💖 (11月13日 7時) (レス) id: 9a7e8648d6 (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ茶(プロフ) - する予定ですので、その時ご機会あればよろしくお願いします☺️ (11月13日 1時) (レス) id: 5b37ec5afa (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ茶(プロフ) - ayuさん» ayu様コメントありがとうございます❣️そちらですが、続編のお話が長編化したもの(亡霊)と、途中まで書いたものがありまして、中途半端なのと年内更新予定がないため現在は非公開にしております💦 また年明けには公開して更新 (11月13日 1時) (レス) id: 5b37ec5afa (このIDを非表示/違反報告)
ayu - コメント失礼致します🙇♀️この作品の続きが気になるのですが、パスワードはどうすれば教えていただけるのでしょうか…?どこかに書いてあるのなら確認不足です;ᯅ;すみません、! (11月12日 20時) (レス) @page46 id: 9a7e8648d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなぎ茶 | 作成日時:2023年3月27日 18時