静かな公園 ページ35
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キィとブランコが軋む音。
街灯だけが辺りを照らす静かな公園で、私とホークスはブランコに腰掛けていた。
ブランコって楽だ。ベンチみたいに真隣に座らずに済むし、そのおかげで前だけ見ていても変じゃない。
なんて考えていたら、ホークスがAさん、と私を呼んだ。
「なに?」
「俺やっぱAさんのこと好きです」
「あー……そっかぁ」
何もない暗闇の向こうを見つめたまま答える。
「で、今日も嫉妬に狂いそうだったんで一刻も早くAさんを俺のものにしたいんですよね」
「嫉妬?なんで」
「イレイザーさんのこと好きなんでしょ」
そこでバッとホークスを見た。
ホークスはずっと最初から私を見ていたみたいで、見透かされたような綺麗な琥珀色に捕まってしまう。
「…別に今は好きじゃないよ。昔の話」
「さっき顔赤かったくせに」
「びっくりしただけだから!」
本当に、ただあの頃の気持ちを懐かしいと感じただけ
ホークスはじぃっと私を見たあと、息をついてブランコから立ち上がった。
前に来たホークスが、鎖を持つ私の手に自分の大きな手を重ねて前屈みに私を見る。
「貴女が俺以外の男に頬染めたりしとるの見るん苦しかったです」
「そんなの、」
「他の男に渡したくない」
手に力が込められ、次第に前のめりになるホークスに私は身体を反らせることしかできない。
「もうこの先俺以外の人と付き合わんで」
「っ、ねぇ待ってよ…!」
重すぎる言葉の連発に一度ストップをかける。
なんでそんなに言ってくれるの
私の何がいいの
No.2ともあろうこの男がこんなアラサー女に
もうただの勢いでしかないんじゃないかって
もうそんなの、私すぐ捨てられるじゃん
「…軽い気持ちで言わないで。遊びのつもりなら他でや、」
その先は口から出なかった。
遮るように唇に押し当てられた柔らかいもの。
あの日以来の、ホークスとのキス。
触れるだけのキスは、そっと静かに離れていった。
「やっぱ待てないです」
私を見下ろす琥珀色は一滴の濁りもなくて
一瞬たりとも目を逸らすことができなくて
「軽い気持ちって… 俺の10年ナメんでくださいってば」
前も言ったでしょ、と
「俺の全てはAさんです。それはこの先も変わらない」
俺は貴女しか見てないんだと、ホークスは真剣な眼差しで言った。
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sana*(プロフ) - ひなさん» ひなさんありがとうございます😭💖新しい作品あげるなり未完作品更新するなりしたいのですが中々纏まらず🥺また活動再開できるよう日々妄想しながら頑張ります😭🙏 (1月7日 15時) (レス) id: 25a11890bc (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 1番好き。何度も何度も読み返してる。 (1月3日 23時) (レス) @page50 id: 2495f1671d (このIDを非表示/違反報告)
sana*(プロフ) - ちゃこさん» 初めまして!コメントありがとうございます😳やったぁあホークス推しが増えました!☺️年下ハンパないですよねぇ🤤楽しんでいただけてよかったです!ありがとうございました!😂💖 (2022年6月18日 15時) (レス) id: 35c21c90ed (このIDを非表示/違反報告)
ちゃこ(プロフ) - 初めまして!ホークス…実はそこまで関心無かったのですが、コレはいかん…このホークスは!やばい😭‼️💕💕年下の破壊力…ま〜幸せ貰いました🙏面白かったです‼️推します😂‼️💕 (2022年6月18日 15時) (レス) @page50 id: e4e61dc8c5 (このIDを非表示/違反報告)
sana*(プロフ) - 叶花さん» 嬉しいコメントありがとうございます!😳💖私も初登場から心奪われました😂たくさん読んでいただきありがとうございます!朝チュン好評でしたので続編書きたいなとは思っています!笑 先になるかもしれませんが是非また読んでくださいね😊 (2021年11月29日 2時) (レス) id: 35c21c90ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sana* | 作成日時:2021年8月30日 17時