三十七話。 ページ39
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「作戦って言ってもさ、具体的にどうするの」
盛り上がっている二人に、ころんが声をかける。
いつもはうるさいくせに、こういう時だけなんで無駄に冷静なのよ。
私はクッションの上で丸まった。
なんか眠いんだけど。
「そこはこの俺に任せろよ!」
さとみくんがグッと拳を押し上げた。
…上手くいくの?大丈夫?
なんかちょっと心配になってきた。
「とりあえず、俺とジェルと遠井さんの三人で遊びに行こうって声をかける」
「うん」
「そっから俺が仮病で休むってことになって、二人でデートな」
さとみくんの話を、ジェルくんが神妙な顔で聞いている。
……それ作戦じゃなくない?
デートでくっつくとは限らないんだしさ。
告るとかなんとかしないと。
「…でも俺さ、なぜか二人でデートに行っても、不思議な力で上手くいかないんよ」
ジェルくんがしょんぼりした顔でさとみくんを見つめる。
不思議な力…。
それってジェルくん個人の問題じゃ?
「今まではどこ行ったの」
ころんが不思議そうな顔でそう言う。
確かにどこに行ったらその力が発動されるのか気になるわね…。
「いろんなとこ行ったんやけど、…なんか途中で先に帰られたり、怒られたり。
サプライズでプレゼントあげたりもしたんやで?」
ジェルくんがまた机に突っ伏した。
…あー、それはもうジェルくん個人に問題があるんじゃないでしょうか?
そうとしか考えられないんですけど…。
「ああもう!俺はもうどうすればいいんや!」
ジェルくんが大声を出した。
確かにあかねちゃんってストレートに来るもんね。
でもそこが素敵なんだけど!
「じゃあさ、デートじゃなくて俺んちに二人きりで来れば?
で、家に着いたら俺がゴミ捨てとか言って家を出れば…」
さとみくんが思いついたようにそう言った。
やった!
ここの家なら私も様子が見れるわ。
いいんじゃない?私は大賛成だけど。
「いーじゃん!さとみくん家なら自然だし!」
ころんが賛同した。
その声に、ジェルくんのアホ毛がピクピクと動いた。
……ア…アホ毛で話聞くんですか?
「…それなら遠井さん、俺に振り向いてくれるんかな…」
「おう!絶対大丈夫だって!」
顔を少しだけ上げたジェルくんの背中を叩いた。
「…じゃあ、作戦会議、しようや!」
ジェルくんが顔を起き上がらせて、笑顔になった。
すると
「うっしゃあああ!」
ジェルくんの一声が部屋に響いた。
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影の黒鷺 - 絵宙(えそら)さん» ユーザー認証…私が見るときには出てこないんですけど…どうなんでしょう。こちら側としては設定していないので、運営さんのバグですかね…。運営さん…(´;ω;`) (2020年5月26日 16時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ユーザー認証が必ず出てくるんですが私だけですか…?(´ ; ω ; `) (2020年5月26日 10時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 影の黒鷺さん» 私の小説も読んでくださってたんですね!とても嬉しいです泣 これからもお互いがんばりましょーね! (2020年4月11日 14時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
影の黒鷺 - ゆらさん» そんな風に言っていただいて本当に感謝しかないです…!私もゆらさんの小説が大好きでいつも見させていただいております。応援ありがとうございます、励みになります(*´ω`*) (2020年4月10日 22時) (レス) id: 4d7a8fb4ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 黒鷲さんの作る小説って、キャラ設定がしっかりしているうえに、それがブレちゃわないところがすごいと思います。。。夢主ちゃんのツンデレな性格がとても可愛いんだけど、さとみくんと気持ちがすれ違っちゃうともどかしくなっちゃいますねwこれからも応援してます!! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影の黒鷺 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kagenokurosagi/
作成日時:2020年4月3日 15時