ep.26 ページ28
それで、私も日向も立ち直れた。
立ち直れた…ってよりも、以前のように周りに接することができるようになった…かな。
日向は直ぐに大丈夫になったみたいだけど、私が戻るのには時間がかかった。
日向に怒鳴られるまでずっと、
話しかけられても無視。単独行動。本部長の話を無視。
チーム内で問題があっても放っておく…
隊長なのにまとめようともしなかった。
挙句の果てには死のうとまでした。
沢山迷惑かけた。
A「カッコ悪かったな…。あの時は。」
ぼそっとつぶやいた言葉はどこかに消えた。
ウィンと自動ドアを抜けるとそこには見知った顔がたくさん。
日向「遅いわよ。A。
待ちくたびれた。」
A「ごめんごめん。
で？旧東京には行くの？」
私は声をかけてきた日向の元へ歩きながら言う。
日向「いいえ。
昨日怪蟲が出たばかりだから、今日は行けない。
Aは行ってもいいわよ。行きたいなら。」
それもそうだ。
昨日怪蟲が出たのに、新東京を離れる方がおかしい。
行きたい。でも新東京が心配。
A「私は日を改めていく。
さすがに怪蟲が出た次の日に新東京は離れられない。」
私は日向の目を見ながら言う。
すると日向はふっと顔を綻ばせた。
日向「…強くなったのね。A。」
A「まあね。
あの時みたいにはもうならないつもりだから。」
歯を見せて笑う私を見て、日向も笑った。
紫苑「A。遅かったな。」
A「あ、紫苑くん。おはよう。」
私がそう言うと、紫苑くんは苦笑した。
紫苑「もうおはようの時間じゃないぞ…」
確かに。
一理ある。
紫苑「日本語の使い方がおかしいな。」
A「10歳にいわれると何か凹む。」
そう私が言うと、紫苑くんは少し笑った。
涼「Aさん。おはようございます。
朝はすいません。起きなくて…」
涼はまだ少し眠そうな顔をしている。
A「ううん、私こそごめんね。
お話してる時に寝ちゃってたんだね。」
涼「そうですそうです。
また機会があったら話、しましょうね！」
涼は爽やかに笑って言った。
私は何故かその笑顔が苦手だと感じた。
何故だかはわからない。でも……
好きなのに、好きじゃない。
私は訳のわからない感情を心に秘めながらも置いてある小さな冷蔵庫から飲み物を出す。
日向「今日は第二部隊以外はパトロールにします。
第二部隊はいつでも出動できるようにしておいて。
第一部隊は必ず武器を。第三部隊も武器を持って。」
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作者名：かえぴょん | 作成日時：2015年5月20日 7時
