【刀剣乱舞】禍ツ神の本丸

厄災三つ ページ8

二人の状況に刀を下ろして和泉守と盈月が二人

を"見下ろす"。

「ごめん、兼さん」

二振の視線の先で苦笑する堀川ときょとんと自

身の姿を見る虧月は、二人揃って"割れた床"に

体を沈めていた…。


「あんた、また床割ったんすか…」

『何でだろうねー？』

「いや、だから体質だって言ってんじゃねーですか」

下半身が床に埋まった体にへらへらと笑いなが

ら虧月が床をペチペチと叩く。

呆れたようにしゃがんだ盈月に馴れたように手

を伸ばすと、盈月は虧月の脇の下に手を入れて

その小さな体を持ち上げた。


「二振共！急に何するんだよ！」

「うるせぇ……この裏切り者が」

その隣で堀川に手を貸す和泉守に加州が咎める

ように声をあげる。

その声に和泉守は鋭く加州を睨み付けると、怒

りに声を震わせて低く吐き捨てた。

「アイツを政府に報告してくれたことには感謝している。けどな、何で新しい審神者を呼んでんだよ！」

「審神者がいなきゃ手入れできないじゃん！それに、前みたいなことが無いように今度は子どもにしたんじゃないか！」

「いくら子どもだからって審神者は審神者だ！信用ならねぇ！」

虧月達を前に言い争う加州と和泉守に、堀川も

口を閉ざしてその様子を側で見つめる。

和泉守が飛び出してきた広間では他の刀剣達が

事の成り行きを静かに見守るが………

その様子から、少なくとも虧月と盈月を快く思

っていないものが大半なのだろう……。

床の抜けたことに一度は緩んだ空気が、再び張

り積めていくのを感じた。

「大体、あいつはどうなんだ！あいつは子どもじゃねーだろ！」

「あいつは俺達と同じ刀剣だから大丈夫だよ！」

「だとしても、審神者と一緒にいるんだ。信用ならねぇ！」

「飛び火じゃねーですか……めんどくせぇ」

言い争うなかで指を指された盈月が重くため息

を吐き出す。

そのまま面倒だと訴えるように虧月に視線を移

すと、虧月は床に落ちた際に落としたねこのぬ

いぐるみを払って抱き締めると、未だに言い争

う二振へと顔を向けた。

『うーん……とりあえず、自己紹介しよ？』

「はぁ？お前、この状況分かって」

『だってこのままじゃ終わらないでしょ？僕は自己紹介のために来ただけであって、皆に認めてもらおうなんて思わないもん』

きょとんと首を傾げる虧月に鋭く和泉守が睨み

付けるが、それに臆する事なく虧月が口を開く。

自由なその発言に面食らったように言葉に詰ま

る和泉守に、虧月は構わず続けた。

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