厄災三十と九 ページ44
「んで、どうするんすか？この林檎の残骸は……」
本丸にあった林檎が全て消費されたところで漸
く興が覚めたのか……。
虧月が漸く抱えられる程の大きなボール2個分に
積まれた林檎の残骸を前に満足そうに笑う虧月
に盈月がため息を重く吐き出した。
しかもご丁寧に全てぐちゃぐちゃに潰してあるのだ……。
すりおろし林檎にしたいとした虧月の願いは見
事に完遂してはいるのだが……。
虧月のために料理を多少なりとも嗜んでいると
はいえ、自分では思いつかない林檎の使い道に
頭を悩ませた。
……そもそも、食べ物を粗末にするな〜……など、
虧月に通用しないのは百も承知の上での”後始
末”の作業なのだが……。
以前ならば物資の少ない人里離れた”社”であれ
ばこれ程までに面倒なことには成らなかった故
に、この本丸に来てからの”後始末”ほど骨の折
れることはない。
如何せん此処は物資があまりにもあっさりと手
に入る……。
”ブラック本丸”成るものを押し付けたことに少
なからず負い目があるのか……政府に願えば大抵
の物資は簡単に手に入ってしまうのだ……。
それも、この虧月の願い通りに……。
かく言うこの林檎も、虧月の願いにこんのすけ
が嬉々として大量に用意したものなのだ……。
……いや、今回の林檎は明らかにこんのすけの興味のほうが余計な加勢をしていたように思えるが……。
何れにせよ、林檎が腐ってしまう前に何とかし
てしまいたかった。
「此処って、料理が得意な刀とか居ねーんですか？それか遊び方でも良く知ってる奴でも良いんで」
加州と己がいくら頭を悩ませても仕方ないと思
ったのだろう……。
満足そうに笑う虧月を囲って談笑する刀剣達に
盈月が問いかける。
「…………」
ピシリ…………。
盈月の言葉に空気がそんな音をたてたのは空耳
だと疑いたかった……。
「あー……料理…ね……」
「居るには居るんだが……」
『？』
言い淀む彼らに虧月が首を傾げて見上げる。
そんな虧月にただ刀剣達は苦笑を返すと、代表
するように石切丸が虧月の頭をそっと撫でた。
「……彼の姿を保つのは難しいからね……。少なくとも、今は無理かもしれないね……。」
「…………」
『？そーなんだ』
……面倒なことを聞いてしまったか……。
無言で彼らの反応を見つめる盈月とは対照に、
虧月は興味ないのか……憂いを帯びているとも言
える石切丸の瞳を見つめ返してその言葉にただ
頷いた。
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不思議の国の有栖さん(プロフ) - 最高です (2021年1月15日 23時) (
レス) id: 1031f2154f (このIDを非表示/違反報告)
紫羅那@龍蓮(プロフ) - 更新頑張ってください！めっちゃ好きです！ (2020年3月11日 17時) (レス) id: 52a85e5aa6 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 羅維さん» 応援の御言葉ありがとうございます！！楽しみだと言っていただけて嬉しいです！最近中々更新ができませんが、なるべく早く更新できるように頑張ります！ (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 闇夜さん» ありがとうございます！！重症待機とは……！早く手入れという名の更新をせねばですね！(笑) 好きだと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
羅維(プロフ) - 続き、スゴく楽しみです！応援してます！ (2019年5月4日 12時) (レス) id: 11865369a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2019年3月25日 17時
