ん？これなんか見たことあるやつだぞ【歌.い/手】

どこかで 8 ページ10

.



いつもの公園、いつものブランコに腰掛けて。冷静になった頭で明日からのことを考える。

やらかしたなぁ、なんて今更ながらに。それでも、大好きな人の手作りのものを壊されたら あそこまで怒ってもおかしくはないはず。
まぁ、向こうが 悪いと思うとか思わないとかは置いといて。









｢ はーぁ…学校行きたくないな
ずっと 歌を歌って、生放送をして…リスナーと話してたい… ｣



キーコキーコとブランコを漕ぎながら、私は 夢花火を口ずさむ。この曲は、恋愛の曲だけど… 相手を親に見立てて歌うと 重なる部分もあり胸がキューッと苦しくなるのだ。

普段苦しい時はこの曲を歌って自分を追い詰めてから、吹っ切れるような楽しい曲を歌ったりする。



｢ 風吹けば 夢のまにまに〜 ｣





私の歌声は、吹く風に乗って 何処かへ流れていく。やっぱり、歌うのはとても楽しい。
楽しくて、その楽しいって気持ちをみんなに伝えたくて…それなのに。まさか歌い手活動を知らない、なんて馬鹿にされるとは。







( あーー…腹立つ！！！！！ )








｢ あーーーっ…いらない！いらない！感情なんてもう！知らない！嫌な 思いなんて！ ｣









モヤモヤした気持ちを歌で叫んでいると、
あのっ！！！と聞き覚えのある声に呼ばれる。







｢ そんな歌い方したら、喉…壊しますよ ｣



｢ えっ、……と……？ ｣



｢ あっ、いきなりすみません！…空綺さん、ですよね？僕…まふまふ、です ｣



｢ いや、えっと、知ってます ｣



｢ ほんとですか!? 僕、実は空綺さんのファンで…!! いや、そんなことより…ですよね、どうしたんですか？こんな所で ｣









え、この状況、どこかで見たことある。
何かに酷似してる。雨は降ってないし、私は泣いてないし、傷だらけではないけども。





…………あと まふくんに さらっとファンですって言われた。今なら逝ける。

どこかで 9→←どこかで 7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す