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300、弟を ページ4

その後のことだった。士郎が代表キャンプを抜けたと伝えられたのは。

きっと、それほど怪我が悪化していたんだろう。



「これ、兄貴からお前にだと」

突然のお別れに戸惑っている時、アツヤがAに小さな封筒を差し出した。

…手紙?

封筒から紙を取り出して広げてみると、丁寧な字が書かれていた。それはたしかに吹雪の字だった。



『Aさんへ

何の挨拶もなしにいなくなってごめんね。

でも前も言ったけど、僕は君と一緒に代表になれて誇りに思っているよ。

同じDFとしてここまでやって来れて良かった。

今まで本当にありがとう。』



お別れみたいなこと書かないでくださいよ。
私は今まで迷惑かけてばかりだったのに…。

いつか吹雪さんが戻って来ると信じてる。その時まで、吹雪さんの分も頑張らないと。

Aは泣きそうになったが、士郎の思いを無下にはしないと心の中で誓った。



その手紙にはまだ続きがあった。



『それから、

アツヤがこれからも面倒かけることがあるだろうけど、仲良くしてくれるとアツヤも喜ぶと思う。

弟を、よろしくお願いします。 士郎』



(…私に吹雪君を?)

どうしてそれをお願いする相手が自分なのか、Aには士郎の真意が分からなかった。

でも、それが吹雪さんから私への頼みごとなら、できることは何でもしたい。

「何だよ、じろじろ見んな。…それ、何て書いてあったんだ?」

「…それは内緒」


弟さんのことは、責任を持って面倒を見ます。
Aはそう心に決めた。

(…面倒を見るって表現は上から目線っぽいけどね)

でも今自分が先輩の為に出来ることは、それしかない。

それに、元よりAもアツヤと仲良くしたいと思っていたから。



「…吹雪君、色々とありがとうね」

何の前触れもなくAがそう言うと、アツヤは怪訝そうな顔でAの方を向いた。

「私がベンチで寝てた時ジャージかけてくれたの、吹雪君でしょ?」

「…何のことだか分からねえな」

そっぽを向くアツヤに思わず笑みがこぼれるA。

知ってるんだから。ちゃんと杏奈からあのジャージの持ち主が吹雪君だったって教えてもらったからね。

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作品ジャンル:アニメ
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紅葉(プロフ) - 夜空さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただいてとても嬉しいです!これからも更新頑張ります! (2019年9月29日 11時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - とても面白くて新しい更新を楽しみにしてます!タツヤの恋も応援したい!ヒロトの恋も応援したい!どうなるの〜汗 (2019年9月29日 2時) (レス) id: d246f2b775 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ドルチェさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!これからも更新頑張ります!! (2019年9月23日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 紅葉さん,いつも楽しみにしてます!これからも拝読させて頂きます!頑張ってください! (2019年9月23日 12時) (レス) id: 697128a6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます!アツヤの登場でさまざまな人間関係が大きく変わっていく、ということをテーマに書いていく予定ですので、楽しんでいただけると幸いです。これからも頑張ります! (2019年9月14日 8時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年9月8日 22時

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