314、これからのこと ページ18
(…2人かあ…)
タツヤは悶々としていた。
今、食堂ではAとタツヤが2人で分担してテーブルを拭いている。Aとタツヤの両方が食堂を掃除するよう頼まれたのだ。
けど今は掃除をしているだけだし、ヒロトに気を遣わないで済む。
そう思いながらもタツヤは何度もちらちらとAを見ていた。
「吉良君たち、今ごろ楽しんでるんだろうね」
「もうすぐ帰って来るんじゃない?」
そんな他愛もない会話をしている間もタツヤの鼓動は早まっていた。
「良いよね遊園地。アフロディさんのことだから何か考えがあるとは思うけど、どうも不公平だなー」
遊園地と掃除じゃえらい違いだと愚痴をこぼす。タツヤはそんなAを冷静になだめる。
「じゃあいつか俺たちみんなで行こうよ」
「え!行きたい!」
今から楽しみにするAに、タツヤは微笑んだ。
「基山君のおかげで掃除もすぐに終わりそうだし。ありがと」
和やかな気分から一変、お礼を言われただけで顔が熱くなってくるタツヤ。
「…どういたしまして」
話のネタがあっても無くても、心臓の音がうるさくても、Aといる時間は悪いものじゃない。むしろ、心地いい。
この時間がずっと続けばいいなって思うけど。
「…遊園地に行くとしたら大会が終わってからかな。…その時俺たちはどうしてるんだろうね」
「大会の後のことなんてあまり考えたことなかったね」
大会が終わる頃には、ヒロトはちゃんと想いを伝えられているのだろうか。俺は西村さんとどうなっているんだろうか。西村さんは誰かを選んでいるんだろうか。
と、これからのことを考えるとそんな不安ばかり思い浮かぶ。
俺はこのままで良いのか。大会が終わっても今の俺のままなのか。
言いたいことすら言えてないままなのに。
そう思い立った途端、タツヤの口が自然に動いた。
「……A」
「ん?何?」
Aはテーブルを拭きながら普通に聞き返したが、遅れて違和感に気づいた。
「……えっ?」
聞き慣れないタツヤからの呼びかけにはっとして振り向いた。
慣れないことを声に出したタツヤはみるみるうちに顔が赤くなる。
「…ごめん…呼んでみただけ」
「…何それ」
Aは平静を装って笑っているが、実のところ不意打ちを食らって鼓動が早くなっていた。
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紅葉(プロフ) - 夜空さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただいてとても嬉しいです!これからも更新頑張ります! (2019年9月29日 11時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - とても面白くて新しい更新を楽しみにしてます!タツヤの恋も応援したい!ヒロトの恋も応援したい!どうなるの〜汗 (2019年9月29日 2時) (レス) id: d246f2b775 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ドルチェさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!これからも更新頑張ります!! (2019年9月23日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 紅葉さん,いつも楽しみにしてます!これからも拝読させて頂きます!頑張ってください! (2019年9月23日 12時) (レス) id: 697128a6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます!アツヤの登場でさまざまな人間関係が大きく変わっていく、ということをテーマに書いていく予定ですので、楽しんでいただけると幸いです。これからも頑張ります! (2019年9月14日 8時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年9月8日 22時