291、絶対に止められない田舎者 ページ44
明日人「いっくぞー!」
明日人がドリブルで駆け上がり、スペインの選手を次々と抜いていく。
クラリオ「何?どういうことだ!?」
氷浦「一人であそこまで!?」
不動「あいつ、何やってんだ?」
スペイン側はもちろん、まだ作戦を伝えられていないメンバーたちも驚きを隠せていない。
アツヤ「分かってきたぜ。あれは立派なタクティクスだ。個人でやるやつだけどな」
チーム連携が特徴のイナズマジャパンが、個人技で攻め上がっている。クラリオもその真意に気づいたようだ。
クラリオ「そういうことか、まずいぞ!全員稲森の道をふさげ!」
円堂の言っていた切り札とは、ラストリゾートのことではなく明日人のドリブルのことだった。
確かに明日人のドリブルは、この試合中一度もスペインに止められていない。
一星「強力な当たりを持つプレイヤーと渡り合ってきたスペインは、小回りの利く明日人くんのような攻撃に慣れていない」
野坂「明日人くんは中盤を担い、ボールをキープすることを要求され、いろんなクセのあるFWたちにパスを送るうちに、ボールのコントロール能力が大きく進化したんだ」
一星「円堂さんはゴールの位置から試合を見ていて、それに気づいたってことですか?俺ですら気づかなかったのに、なんという分析能力…」
「あの人の場合、分析能力というより直感って感じじゃないかな」野坂は円堂の方を振り向きながら言った。
「チョロチョロと鬱陶しいチビが!」
ドメルゴに体当たりでボールを取られ、明日人は倒れてしまった。
ドメルゴ「教えてやるよ。世界には絶対に越えられない壁ってやつがあることを…」
ドメルゴが言い終える前に、明日人がボールを奪い返し、駆け出した。
明日人「教えてやるよ!絶対に止められない田舎者がいるってことを!」
アロンソ「どんなシュートでもカモン」
クラリオたちも抜いたが、ゴールにはアロンソが構えている。
明日人はシュートを打つことなくドリブルで突き進んだ。アロンソまでをかわして、体ごとゴールラインを越えた。
これで3ー3。明日人のファインプレーで追いつくことができた。
「やったー!」と、ジャパンの喜ぶ声がフィールドに響き渡る。
予想を遥かに通り越した日本のプレイに、クラリオは声を出して笑った。
貴女「!」
クラリオ「…やられたな!彼らもまた我々の弱点をついてきたというわけか」
いつもは澄ました笑いしか見せないクラリオの新たな一面に、Aも目を凝らした。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年8月23日 13時