288、勝ち目 ページ41
アツヤもAに向けて片手を上に上げた。
貴女「え」
Aは戸惑いながらも、自分の手をアツヤの手に叩きつけた。
鳩が豆鉄砲を食ったような顔のAに、「何だよその顔」とアツヤ。
貴女「いや…まさか吹雪君からこんなことされるとは思わなくて…」
アツヤ「俺がそんな冷徹な奴に見えるか?」
貴女「そ…そうじゃないけど」
でも確かに、自分のアツヤを見る目が変わった気がして、笑みがこぼれた。
貴女「でも…ありがとう!」
アツヤ「…え?」
私が殻を破れたのは吹雪君のおかげでもあるから。
貴女「最後まで頑張ろうね!」
アツヤ「……」
「…マジでムカつく奴」アツヤは戻っていくAの背中を見つめ、呟いた。
だが、アツヤの口元は笑っていた。
Aが持ち場へ戻ろうとすると。
ふわり。アツヤから甘い香りが漂ってきた。
貴女「……ん?」
この香り…もしかして。
Aは首を傾げながら、ポジションに戻って行った。
勝利にまた一歩近づけたと大喜びするイナズマジャパンを見て、ベルガモが呟いた。
ベルガモ「アロンソの弱点を見抜いたようだな」
だが、クラリオはまだ余裕の笑みを浮かべている。自分たちもまだ勝利を確信しているように。
試合が再開されると、イナズマジャパンを眩しい光が襲った。
貴女「!?」
気がつくと、日本側のゴールにはボールが転がっていた。
『ご…ゴール…なのでしょうか…?』
『一体何が起こったのでしょう…』
誰も、すぐには状況を把握できなかったようだ。
クラリオ「あなたたちが私たちの弱点を把握したように、我々もあなたたちの弱点を完全に把握した」
「日本に勝ち目はない」クラリオはキッパリ言い放った。
光の正体は、ベルガモとルーサーの連携必殺技「ツインランサー」によるものだったらしい。
貴女「……ああ、もう…」
Aは大きくため息をつきながら俯いた。
貴女「やっぱ凄いな…!」
空を見上げながらそう呟く。
だが、先程までのAだったらそんなことを言える心の余裕などなかった。
まだ試合の行方は分からない。Aは頑なにそう信じていた。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年8月23日 13時