252、変わった ページ5
Aたちは先程一星とフロイが話していた場所に来た。
貴女「…じゃあ、本当にオリオンの使徒はいな
いの？」
フロイ「ああ、約束する」
そうフロイから聞いてほっとしたA。
だとしたら、ロシアとも本当のサッカーができるということになるから。
貴女「…でも、本当にフロイがロシア代表だとは思わなかったよ」
心配事が無くなり、ようやくフロイとゆっくり話ができる。
貴女「ロシアで大会が開催されるって聞いた時、フロイはどうしてるかなって思ったけど…まさかここでまた会うことになるなんて」
フロイ「それなら僕だって驚いたさ。初めてAが日本代表だって知った時なんて…」
フロイはその時のことを思い出してクスッと笑った。
フロイ「…あのドジで泣き虫だったAがね」
貴女「あんたはいちいち一言多い！」
ドジで泣き虫…は否定できないけど。
フロイ「…でも、おかげでこうしてAに会えた。すごく嬉しいな」
貴女「…！」
優しく微笑むフロイに見つめられ、Aは思わず視線を落とした。
貴女(フロイってこんなキザだっけ…)
しかし本当に整った顔してるなぁ…。
昔から美少年って感じだったけど、ますます綺麗になったというか…
声といい背格好といい…フロイが別人のように感じる。
お互い、昔とは変わったように見えてるんだろうな。
そのくらい、私達が離れ離れだった時間は長い。
貴女「……あの、婚約の件だけど…」
フロイ「…何か思い出した？」
その話題になると、フロイは食い気味になった。
貴女「…フロイと最後に遊んだ日のことはよく覚えてる。でも、どんな風に婚約したのか…その記憶はなくて…」
フロイ「……」
貴女「…ごめん。そんな大事なこと忘れて…」
申し訳なさそうなAだが、フロイも黙ったままではなかった。
フロイ「…「私たちはずっとなかよしだよ」」
一呼吸置き、穏やかな声色を崩すことなく語りかけた。
貴女「…え？」
Aには今の台詞に覚えがあった。
フロイ「最後の日を覚えてるのなら、今のが何のことか分かるよね」
貴女「…そ、それは分かるけど…」
私がフロイに言った言葉だ。
フロイ「Aが言ってくれたんじゃないか。「大人になっても、ずっと仲良しでいよう」って」
貴女「…！」
フロイ「それって、僕とずっと一緒にいてくれるってことだよね、A？」
言葉には圧を感じるが、フロイは純粋でまっすぐな瞳をAに向けていた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年8月23日 13時
