天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。6【オリオンの刻印】 (ページ34)

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281、自信ページ34

アツヤ「戦いたい相手がいるのは良いけどよ、それで勝手に緊張して勝手に足引っ張るなんてのはやめろ。迷惑だ」

言い方にトゲはあるが、今のAにアツヤの言うことを否定はできない。…ごめん、と素直に謝った。

何で言い返さねえんだよ…。苛立ったようにアツヤが呟く。

アツヤ「お前の「戦いたい」ってのはその程度だったんだな」

貴女「そ、そんなことない！！」

自分の闘志がその程度のもの？そんなわけない。焚き付けてくるアツヤに流石に黙っていられなくなり、声を荒げた。

そんなAが珍しいと感じたのか、周りの者達は目を丸くした。

アツヤ「それなら緊張してる暇なんてないだろ！！」

貴女「そんなの分かってる！！」

激しい口論になる2人に明日人たちはオロオロし出す。だが言い争いを止める隙が見つからない。

貴女「世界と戦うにはこんなんじゃダメだってことくらい…！」

アツヤが言い返すより先に、Aが口を開いた。

貴女「…それでも私はクラリオさんのこと、すごい選手だと思ってるから…！！」

…まるで雲の上にいるんじゃないかってくらいに、高く遠いところにいる選手だ。

昔から何の取り柄もなかった私。今じゃそんな私にも一緒に一緒のことができる人たちがいる。

…けどそんなサッカーでも、思うように上達しないって悩んでた時があった。そんな時クラリオさんを見て、クラリオさんみたいな人たちと戦いたいって夢ができた。

…でも夢が大きければ大きいほど、私に出来るのかって思ってしまう…。

貴女「…私だって、自信を持ってあの人たちと戦えたら良いって思うよ…」

涙を堪えながらも、声が徐々に弱々しくなっていく。

…でも、自信なんかそう簡単には持てない。

アツヤ「…相変わらず後ろ向きなんだな」

貴女「…え？」

先程よりアツヤの声色が落ち着いた気がする。

アツヤ「お前、FFの時から少しも成長してねえよ。自信が無くてこれからやっていけるなんて思うな」

貴女「…！」

…その通りだと思った。

吹雪君みたいに自信を持ってサッカーをしている人が羨ましいと思っていたけど…自分自身は何も変わってない。

＿_自分の努力を少しでも、信じてあげたことある？
…そう自分の中の誰かが問いかけた。

…私は、誰にも負けないくらいの努力はして来たつもり…。

…でも、その努力がなかなか実を結ばないのは、気持ちで負けてるから。「自分ならできる」って言う気持ちが、私には足りてなかった。