249、思い出しちゃって ページ2
他のメンバーの元に戻ると、誰かを目で捜し始めるA。
基山「ヒロトなら、違うところに行ったよ」
貴女「そ…そうなの？」
キョロキョロしていたAを見かねたタツヤが声をかけた。
よくわかったなあ。吉良君を捜してるって。
私ってそんなに分かりやすい？
その時、Aのお腹から空腹を表す音が鳴った。
貴女「！！」
慌ててお腹を押さえたが、時既に遅し。
かなり大きな音が鳴った為、タツヤにも聞こえたはずだ。
顔が真っ赤になり、タツヤの方を見ることができないA。
タツヤはそんなAを見てクスッと笑った。
基山「…何か買いに行く？」
貴女「……そうする」
恥ずかしさで蚊の鳴くような声しか出なかった。
Aはベンチに座って買ってきたピロシキにかぶりついた。
Aは頬張りながら、隣にいるタツヤのことを気にしていた。
…基山君、私に気を遣って一緒にいてくれてるのかなぁ。
私にばかり付き合って基山君が楽しめてなかったら…。
貴女「…基山君、行きたいところがあるならちゃんと行かなきゃダメだよ」
ゆっくり観光できるチャンスは今くらいしかないんだから、とタツヤに釘をさすA。
基山「うん。大丈夫」
だがAがそう言っても、タツヤはその場を動こうとしない。
Aに気を遣っているのか、それとも…
貴女「…そっか」
タツヤの真意はわからないが、隣に誰かいてくれるのはありがたい。
二人の間に心地よい風が吹く。
…この状況、何かに似てる。
Aはふとそう思った。
…ああ、そっか。
壮行会だ。
…あの時といい今といい、基山君が隣にいてくれることが多くなったな。
そのおかげで、私も楽しい時間を過ごすことができている。
貴女「…ありがとう」
基山「…え？」
あの時のことを思い出したら、どうしても言いたくなった。
いくらお礼を言っても足りないくらいだけど。
貴女「…壮行会の時のこと、ずっとお礼言いたくて」
基山「…！」
Aの口から壮行会の時の話が出たことで、タツヤの鼓動が速くなった。
基山「……急にどうしたの？そんな前のこと蒸し返したりして…」
タツヤはAから顔を逸らしながら聞く。
貴女「状況が似てるから思い出しちゃって」
基山「…何だそれ」
その時タツヤの顔がうっすら赤くなったのを、Aはまだ気づかなかった。
…君も同じこと考えてくれてたんだ。嬉しいな。
タツヤはその想いを、グッと自分の中だけに留めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅葉 | 作成日時：2019年8月23日 13時
