41.嘘じゃない HS ページ41
.
俺の言葉に困ったような表情を見せる通訳さん。
……別に俺は今も完全に信用している訳じゃないけど。なのに彼女に声をかけたのは理由があったから。
事の発端はこの前、通訳さんから俺たちのファンであることを告げられた次の日のことだった。
"なぁ、ホソガ"
"どうしたんだよナムジュナ。そんなに改まって"
"その、伊藤さんのことなんだけど"
"伊藤さん？……ああ、あの通訳さん？"
"ああ。こんなことお前に頼むのはおかしいって分かってるんだけど、その……"
"なんだってば、もう。落ち着いて言えよ"
"……彼女のこと、信じてあげられないか？昨日の話を聞いて信じられないのは分かってる。
だけど、俺だけじゃ彼女の支えにはなれないんだ"
"……俺にも協力しろって？"
"俺たちが一人でやってこれなかったように、彼女も今の状況で一人でやっていけるわけがない。そうだろ？"
"まあそうだけど……でも信じたら何が起こるか分からないだろ"
"……頼む。お前しか、お前じゃなきゃダメなんだ。これはお前が親友だからじゃない。
お前ならきっと彼女のことを理解できるから"
"……何だよ、それ"
とまあ、こんな感じでナムジュンに半ば無理矢理頼まれて。
その日から通訳さんのことをたまに見てた。だけどナムジュンの言う通り、彼女は怪しい行動なんて一切せずにただ通訳という仕事を心の底から楽しんでいた。
心底この仕事が好きなんだろうな、ってそう思った。
最初は乗り気じゃなかった観察も日を重ねるごとに楽しくなって、気付けば目で追っていた。それでも彼女は気付かなくて、それだけが幸いだったと思う。
「通訳さん。僕は、貴女と仲良くなりたいです。あと、信頼したいです。だって半年だけだけど貴女は僕たちの専属の通訳さんなんですよね？
じゃあ、仲良くならないと。ね？そうでしょう？」
この言葉は嘘じゃない。
俺の本音だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 468人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
閔(プロフ) - nanaさん» ありがとうございます！申し訳ありません、苗字は固定です。ご期待に応えられず申し訳ありません...！ (2019年7月22日 19時) (
レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 更新たのしみにしています！苗字は変えられないですよね...? (2019年7月22日 19時) (レス) id: 1c8c31250d (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - ミイミイさん» わわわ、ミイミイ様！ありがとうございますっ！！ミイミイ様にそう言っていただけるなんて......嬉しすぎます！可愛いナムさん......いいですよね！私も大好きです！ミイミイ様に励まされて俄然やる気が出たのでこれからも頑張りますね！ありがとうございました！ (2019年7月4日 22時) (レス) id: bb6f8ac404 (このIDを非表示/違反報告)
ミイミイ(プロフ) - 閔さんお久しぶりです！ニヤニヤしながら読ませて頂きました！その情景が想像できるリアルさがたまらないですっ(*´∀`)ナムさん可愛い！どんな展開になるか楽しみにしてます！ (2019年7月4日 22時) (レス) id: 07d9352f4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：閔
| 作成日時：2019年6月29日 18時
