【Free! シリーズ】短編集 (ページ8)

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遠野日和誕生日編２ページ8

日和side

千歳「日和君、今日は何の日か分かってる？」
日和「何の日って…」

その時、千歳ちゃんはショルダーバックから可愛らしい包装紙に包まれた物を取り出し、僕に差し出した

千歳「ハッピーバースデー！日和君！」
日和「…へ？」

突然祝われ僕はポカンとする
そういえば今日は僕の誕生日だった
忘れていたよ…

日和「覚えててくれたんだ…！」
千歳「当り前でしょ！大切な人の誕生日を忘れるわけないよ！」

彼女の言葉に不覚にもドキッとしてしまった
だが、きっと千歳ちゃんは「友達」として言っただろう

日和「大切な人、ね…」
千歳「ん？」
日和「いや、何でもないよ」

僕は笑顔で誤魔化した

日和「ありがとう、千歳ちゃん」
千歳「どういたしまして」

彼女は微笑みながら頷いた

千歳「あ、そういえば近くに良い喫茶店見つけたんだけど一緒に行かない？」
日和「いいけど、そこら辺の喫茶店ならほとんど行ったことあるんだよね」
千歳「うっ…何でそういうこと言うんだか…」
日和「ああ、ごめんごめん！悪気があって言ったわけじゃないよ！」
千歳「うん…知ってるから大丈夫」

落ち込む彼女に僕は慌てて謝った

千歳「でもまあ、そこが日和君らしいよね。嫌味っぽいところが！」
日和「ちょっ…今の馬鹿にしたでしょ？」
千歳「さあ、どうなんでしょう？」

彼女は落ち込んだ顔から笑顔に戻り、可笑しく笑っていた

日和(やっぱりこの子には敵わないな…)

その笑顔をしばらく見つめていると、スマホに一通のメールが届いたことに気づく

郁弥『誕生日おめでとう、日和。良い一日を』

送り主は郁弥だった
そういうことだったのか、と僕は心の中で納得した

千歳「日和君？」
日和「ああ、大したことじゃないよ」

僕はさっきの仕返しのつもりで千歳ちゃんの手を取った

千歳「えっ？」
日和「ほら、千歳ちゃんがお勧めする喫茶店に行くんでしょ？早くしないと閉まっちゃうよ」
千歳「…うん！」

彼女の手を引いて喫茶店へ向かったのだった
密かに想いを寄せる彼女と共に

※

その後、僕は喫茶店で千歳ちゃんから貰ったプレゼントを開けた

日和「…白熊のぬいぐるみ？」

包みから出てきたのは、白熊のぬいぐるみだった
だが、普通の白熊のぬいぐるみではなく何故か眉が太かった

千歳「ただの白熊じゃないよ！今密かに流行っている「白熊の森」の「太眉君」だよ！」
日和「へ、へえ…」

正直、微妙過ぎてどう反応していいか分からなかった