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「好きだよ」
濡れた頬を親指で拭い顔を近づけると、瞼を閉じる。
閉じた目から涙がこぼれ、俺の指を濡らした。
久しぶりに触れた唇の柔らかさに興奮して、ちゅっと吸い上げると小さく声を漏らす。小さく開いた隙間から舌を差し入れると、甘く絡みついてきた。
熱くなる体に上着の裾をパンツから引き出すと、ぐいっと体を押される。
「なに？」
ベッドに行くのも億劫に感じるくらいなのに、急な拒否に思わず低い声が出た。
「ちょっと今日は」
「なんで？」
「仲直りしたばっかじゃん。藤ヶ谷の両親の話も聞きたいし」
「どんだけ触れてないと思ってんの？」
「そうだけど」
北山は触れ合いに消極的なタイプじゃない。自分から誘ってくることはあまりないが、始まってしまうとノリノリになる。
だからこんな拒絶の仕方は絶対におかしい。
「たまと何かあったの？」
「え？」
「何かあったから拒んでるんでしょ？」
「……そんなことないけど……」
そう言って目を反らす北山はわかりやすい。
「なに？ キスでもされた？」
「は！？」
「されたの！？」
「……されてない、」
動揺してるのが怪しすぎる。玉森とはどうなったのかめちゃくちゃ気になっていたが、ここで聞いたら雰囲気が悪くなるんじゃないかと聞けずにいた。
「怪しいじゃん！ 怒んないから正直に言って」
「だから何にもないって」
「絶対ウソ！」
「しつこい！ ないものはないし、そんなに言うなら今すぐ帰ってもらう」
ギロッと睨まれて押し黙る。ここで帰されたらたまったもんじゃない。
「…………たまのこと好きじゃないよね？」
小さな声で尋ねる。情けないけど、これだけは確認したかった。
北山はきょとんと俺を見たあと、目を細めて笑った。
「藤ヶ谷しか好きじゃないよ」
その顔があまりにも綺麗だったから、一旦玉森のことは忘れることにした。
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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん！最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました！ (2022年11月16日 22時) (
レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします！(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん！私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん！完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます！ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます！私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか（笑）今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くらげ
| 作成日時：2022年7月1日 0時
