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「あー……、すまん。今のは言い過ぎた」
重苦しい空気が漂う中、ふいに大倉が頭を下げた。
「宏光は悪くない、俺が勝手に嫉妬しただけや」
「嫉妬?」
大倉の言っている意味が分からなくて首を傾げると、再びため息を付かれる。
「そうやって首を傾げるのもほっぺに触るのも可愛いけど、他の奴の前でもやってるんやって思ったらめっちゃ腹立つ」
「え、もしかしてヤキモチ妬いてんの?」
「そうやって言うてるやろ、何回言わすねん」
少し早口になりながら視線を逸らす大倉をまじまじと見る。
「なに……?」
「いや、ヤキモチなんて妬くんだなって」
「はあ? そんなん当たり前やろ。好きやねんから」
逸らしていた視線を合わせ、大倉は真っすぐ見つめてきた。
その時、初めて大倉の好きが俺の中に入ってきた。
二回目に好きだと言われた時も俺のことが好きなんだとは思ったが、それは追体験しているような気持ちが大きく、頑張らせることで大倉の気が済むならと考えていた。
気持ちには応えられないが、藤ヶ谷もやってくれたからと全て藤ヶ谷を前提としていた。
俺は藤ヶ谷じゃないし、大倉だって俺じゃない。
そんな当たり前のことに今更気が付いた。
大倉は俺のことが好きだから、俺の周りにいる奴に嫉妬する。
毎日連絡してくるのも、こうやって会いに来るのも俺が好きだから。
好きだから、僅かな時間でも誕生日は一緒に居たい。
ぜんぶぜんぶ、俺が好きだから。
どんなに可愛い子や綺麗な人が好きだと言ってくれても、他の人じゃ代わりにならない。
そのことを一番わかっていたのは俺のはずなのに。
他の誰も見えなかった、藤ヶ谷以外誰も。
でも多分、大倉にとって俺はそういう存在なんだ。
気が付いた瞬間、パッと辺りが明るくなったようが気がした。
「どうした?」
急に黙ってしまった俺を訝しそうに見る大倉。
久しぶりにきちんと顔を見た気がした。
「……誕生日、楽しみだな」
気が付いたら口から出ていた。
大倉は驚いたように目を丸くした後、嬉しそうに目を細めた。
「うん、楽しみやな」
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くらげ(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさん、いつもありがとうございます!Fさん言葉にはしない癖に無意識に行動しちゃうからいつも大変な事に(^_^;)Kさんに否定されTさんに嫉妬して心の嵐に翻弄されるFさんとT、Y、Oさん其々の想いがどう交錯していくのか移行後も見届けてもらえたら嬉しいです! (2019年6月26日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
makoanjyu(プロフ) - いきなりKさんにキスしちゃったFさん。相手に否定されて初めて味わう嫉妬と独占欲!大好物デス(//∇//)TさんのKさんに対する甘やかす様な抱擁を見てしまったFさん。何で見に行っちゃうかなぁ。そしてTさん良い仕事しますね♪もっと暴れてください♪(´ε` ) (2019年6月25日 23時) (レス) id: 7bd3afd279 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - さゆりさん» さゆりさん、初めまして!仕事後のご褒美にしていますなんて言って頂き私の方がご褒美を貰った気持ちです。゚(゚´ω`゚)゚。これからもドキドキしてもらえるよう頑張りますので移行後もお付き合い願えれば嬉しいです(*´ω`*)コメント本当にありがとうございました! (2019年6月25日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
さゆり(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。くらげさんのこのお話が凄く好きで、毎回更新されていると勝手に仕事後のご褒美にしています。笑 Fさんやっと気付いて毎回切なくもドキドキ読ませていただいてます。くらげさんの描くお2人がとても繊細で大好きです^_^ (2019年6月25日 15時) (レス) id: 6b1f7122fc (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - makoanjyuさん» makoanjyuさん、こちらこそいつもご丁寧にありがとうございます!香水を買ってから長かったですがやっとここまで来たかと…!少しずつ変化していく2人を細かく書きたかったのでそう言って頂けて本当に嬉しいです(;ω;)次の更新でガッと動くので楽しみにして貰えたら! (2019年6月22日 2時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年5月17日 0時