21話 ページ23
Aの頭の中はその一言でいっぱいだった
「…お主は自分のこと、どれだけ知っておる？」
『自分のこと…』
「自分のこと、村のこと、お主の周りにいる妖怪達のこと、理解しておるか？」
分かるって言いたかった、自分のこと、皆のこと、村のこと…
『…っ何も、知らないじゃない…っ』
誰も何も教えてくれなかった、そんな事は無い
村の皆は優しくて強い、守っていてくれる存在
自分から知ろうとしなかったんだ
『あのっ、お狐様』
「なんじゃ？」
いつ間に出したのか煙管を吸っていた
『この村のこと…教えてください』
お願いします…と頭を下げる
「よかろう」
トントン、と煙管の灰を捨てる
「これは数百年前に遡る、この神社の元主は人間で、それはそれは大切に扱ってくれていたんじゃ」
神社の柱を触りながら懐かしむように目をつぶる
「その男の名は、
『龍之介…』
「妾は龍之介が好きじゃった…毎日我の像を磨いて床を掃いて柱など壁も拭いて綺麗にしとったんじゃ…じゃがある日、」
神社は燃やされた
『燃やされたっ…？』
狐は悲しそうに目を伏せて
「元々この神社は人間も妖怪もお参りに来ていて仲良く暮らしておってのう、人間と妖怪の繋ぎの要であったこの神社は大切にされていたんじゃが…」
ある日、人間が妖怪を裏切ってしまった
『裏切った…？』
「裏切ったというより、妖怪と仲良くしていた龍之介を気に食わん人間もゴロゴロおったんじゃ、その悪い人間達が神社を燃やした」
『なんて酷い…』
こんな綺麗な所を燃やすなんて…と呟く
「神社が燃える中龍之介を殺そうと何十人者の人間が襲ってきて妾も焦ってのう、とりあえず逃げようと龍之介に言ったんじゃが、自分は残ると言って」
『ーーーーを頼む』
「…っ妾は龍之介を置いて逃げてしもうた」
その後、龍之介の仲が良かった妖怪達は激怒して
人間の村を襲ってしまい今に至るという
「妾も…龍之介を妖怪にさせようと血を飲ませようとはしたんじゃ」
『血……』
「妾の血ではないがな、古くから伝わる鬼の血じゃ、彼奴は飲まんかったがのう」
すると、手を前に出し
フワッと何かを浮かせ見せた
それは小さな小瓶で赤い液体が入っていた
『それが…？』
「そうじゃ、でももうこれは中身はない見えているのは作り物じゃ」
『え、でも龍之介さんは飲まなかったんですよね…？』
じゃあなぜなくなっているのだろうと、Aは不思議に思っていると
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くらと(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます！猫めめ可愛いですよね！ (2022年6月8日 23時) (
レス) id: 1c83c89606 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - お話面白くて好きです！めめの猫ちゃん可愛くて好きです😊 (2022年6月8日 0時) (レス) @page33 id: 79c06ba365 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くらと | 作成日時：2022年5月29日 19時
