48話 ページ48
「な､に､言ってんの…？そんな訳ないじゃん」
「私は､Aが思ってることを代弁してるだけだよ｡
…ほら､もう時間だ｡帰りなよ」
「ま､待って…!」
床に倒れ込んだはずの私は､ソファーに寝かされていて､手を伸ばしてガバッと起き上がっていた｡
ベッタリと汗で服が張り付いて気持ち悪い｡
「お､目が覚めた?」
「…なにしてんの?」
兄はマグカップを2つ手に持ち､台所から出てきた｡
「見たら分かるだろ｡ミルクティー入れてきたんだよ」
「そうじゃなくて…」
言いかけて､口ごもる｡
どうせ､今問い詰めたところで､答えてはくれないだろう｡
素直にカップを受け取って飲む｡
じんわりとした暖かさが､体中にはびこった不安を和らげてゆく｡
「美味しい」
「そりゃ良かった」
「ねぇ………お兄ちゃん｡起きたらやろうと思ってた事があるんだけど…」
「ん?なんどぅわぁ!!!!?」
もう､『頼りない兄』を演じる必要がなくなり､満面の笑みで返事をした兄にアッパーを喰らわした｡
兄は情けなく､背中から床に落ちていった｡
「痛ってぇ､何すんだよ!?」
「…アッパー?」
「そうじゃねーよ!」
「逆に､あれだけの事をしておいて､何で殴られないと思ったのかが不思議だよ｡
…どうして､お兄ちゃんも､お姉ちゃんも､私にこんなに優しくしてくれるの?」
「んなの､Aが誰の子供であっても､何だったとしても､世界にたった1人だけの可愛くて､大切な妹だからに決まってるからだろ?」
「な､なんでそんな事､恥ずかし気もなく言えるのよ!?」
真顔で答える兄に､こちらが恥ずかしくなる｡
「てか､口調戻ったのな｡
…そいえば､何であんな喋り方してたんだよ?俺､そんな風に書き換えた覚えないんだけど」
「それは…お兄ちゃんよく､幼い私を仕事場に連れてってくれてたでしょ?」
「ああ､そうだな」
「それで､いつも仕事モードの時はあの喋り方だったじゃない｡だから､いつも格好いいなって思ってて…それで…その…」
じわじわと熱くなる頬｡
兄は､からかうように私の頭を撫でる｡…子供扱いしないでよ｡
「今度はこっちの番｡なんで今さら記憶を返そうと思ったの?」
「あー､まあ､色々経緯はあるんだけどな?
…A､お前には､一度､死んでもらう」
先程までの笑顔は消え失せ､冷え冷えとした空気が､兄から出ていた｡
今目の前に居るのは､まさしく､私が憧れ､追いかけた人｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅紅李(くくり)(プロフ) - 。ちょこまろ。さん» コメントありがとうございます(^^)｡夢主ちゃんは､それだけヒソカが怖かった(性的な意味で)って事ですwww (2022年5月3日 10時) (
レス) id: a95bb3f93d (このIDを非表示/違反報告)
。ちょこまろ。 - 夢主ちゃんのヒソカに対するアタリが強くて笑いましたwww (2022年5月3日 9時) (レス) @page8 id: 1cb4a4c603 (このIDを非表示/違反報告)
紅紅李(くくり)(プロフ) - 【黒豹】@鬼 zm推しさん» ありがとうございます頑張ります!(^^) (2022年3月9日 13時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
【黒豹】@鬼 zm推し(プロフ) - 更新頑張って下さい!!(*´▽｀*)b (2022年3月8日 21時) (レス) id: 9147c4c152 (このIDを非表示/違反報告)
紅紅李(くくり)(プロフ) - チョコさん» ありがとうございます！もうめっちゃくちゃ嬉しいです(^-^)｡これからも頑張るのでこの作品と､ついでのついでで作者をよろしくお願いしますm(__)m (2022年2月16日 16時) (レス) id: f037107fb7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もか@テスト死にそう | 作成日時：2021年9月3日 22時
