貴女に捧げる復讐劇

第23話 ページ25

リョーマside



ポンタ片手に、いつもの場所に行くもあの長いお下げ髪は見当たらない。
休日の部活でもいつもみたいに壁打ちしている竜崎をからかいに来たのに。



「なんだ、いないじゃん」



昼寝してくると部長に言った手前、このままテニスコートに戻るのも気が引ける。
絶対、からかわれる。

しょうがなく、昼寝が出来そうな木陰で横になり、帽子を顔に乗せる。
女テニのテニスコートにでも居るんだろう、男子同様3日間部活あるんだし。最近休憩中は竜崎と一緒だったし、久々のひとりの休憩もいいもんだ。

少しの寂しさに気づかない様に寝に入った。









桜乃side



部長率いるレギュラーメンバーが今週の3連休に県外合宿に行くことが決定した。
女子テニス部の毎年恒例らしい。

その中でも、レギュラーメンバーであるはずの副部長は残りの部員の部活を見る為に合宿には行かないらしく、県外合宿中は副部長のスケジュールで部活を行うみたい。


だったのだけど……。



『りゅ、竜崎さん！ええと、今部内の連絡網で回ってきて……。副部長が風邪引いちゃって、部活なしになっちゃったみたい』



さて、そろそろ部活に行かなきゃと準備したのに、隣のクラスの部活仲間から急な中止の連絡に凹んでしまう。
風邪引いちゃったのは仕方ないよね……。
準備したのに少し勿体ないな。

落ち込んでる私の視界に入ったのは東さんから貰った白いテニスラケット。
ダメ元で、東さんに連絡してみようかな。今度テニスしに行こうって言ってくれてたし。

東さんの連絡先をタップするとコール音が軽快に流れる。出なければしょうがないし、ドキドキしながら待っているとコール音が止まり、低い掠れた声が聞こえてきた。



『……もしもし』

「も、もしもし。おはようございます」

『……んー、…だれ？』



明らかに寝起きであろう声に、起こしちゃったのかもとハラハラしながら質問に答える。



「桜乃です。すみません、起こしちゃいましたよね。切ります……」

『……さ、くのちゃん？……え！？あ！うそ！！
ちょっと待って！今起きたから！』




電話越しに何か大きな音がしたけれど、あの東さんがベッドから落ちたとか転んだとかそんなこと想像できなくて、空耳かなぁとぼんやり考える。




『んで、どうした？』

「部活が中止になってしまって、もしお暇でしたらテニスにでも____ 」

『準備したら迎え行く』



まさかのOKに少し浮かれてしまった。

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