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第16話 ページ18

桜乃side





「……っ」


公園のベンチで私はボロボロになったラケットが入ったラケットバッグを抱きしめ、溢れる涙を腕で拭った。





あの後、リョーマくんが練習に戻り、私は少しの間リョーマくんに言われた所を気をつけながら壁打ちをした。
喉が渇いてきたのもあったから私もちょっと休憩しようかな、そう思いラケットをその場に置いて飲み物を買いに自動販売機まで行っていた。
ちょっとの時間だし、ここはあまり人が来ない所だし、そんな少しの余裕から壁にラケットを立て掛けその場を離れた。



「ちょっとだけだから、大丈夫だよね?」



ほんの、10分くらいだったと思う。
スポーツドリンクを片手に戻ってきた私の視界に入って来たのは、投げ捨てられたかのように地面に落ちてるラケット。近づいてよく見るとフレームが折れ、ガットは所々切れていた。私がさっきまで使っていたピンクのラケットだ。
壁から倒れただけじゃそうにはならないラケットは、誰かが悪意を込めて壊したとすぐに分かった。

思っても見なかった出来事に理解が追い付かず、ラケットを持ち上げて、少し触ってからやっと、ラケットが壊されてしまったと理解ができた。そして壊されてしまった悲しみや、置いていってしまった後悔で涙が出そうで。
そんな自分を無理矢理落ち着かせた。



「あ、の。部長」

「あら、竜崎さん。どうしたの?」

「実は、ガットが切れてしまって。早めにガットを張り替えたいので今日は……」

「そう、ガットが。先生には私から伝えておくから、お店が閉まらないうちに行ってきなさい」


にっこり言ってくれた部長に泣きそうになってしまう。
そんな私を見てか何か言いかけていた部長の後ろでは、虎谷先輩と仲のいい先輩達が私を見て不敵に笑っていた。



「お、おつかれさまでした!」



怖くなった私は早々とテニスコートを出た。
いつの間にか早足から走っていたようで、この間と同じように何回もつんのめりそうになりながらも走る。
動かす足は重く、軋むように痛む胸は走ってて痛いのか、それともラケットを壊されて痛いのか分からない。

それでも、私はあの先輩達の笑った顔が怖くて、少しでも遠くに行きたくて走り続けた。



そして、この公園に辿りついて、ベンチに座って、抱えたラケットバッグを見て、我慢していた涙が溢れた。

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設定タグ:テニプリ , 青学 , 竜崎桜乃   
作品ジャンル:アニメ
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バンビ(プロフ) - 猫好きさん» ありがとうございます。更新がゆっくりになってしまっていますが、続編をポチポチと作成していますのでそちらも続けて読んでいただけるように頑張らせて頂きます。 (2020年9月4日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
猫好き(プロフ) - とても面白いです!続きが楽しみなので、これからも更新頑張ってください! (2020年9月3日 18時) (レス) id: 9581fd09d5 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - わんにゃんさん» ありがとうございます。中々更新できず申し訳ありません!!できるだけ早く更新できるよう頑張らせて頂きます。 (2020年7月2日 21時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
わんにゃん - とても面白くてこの作品大好きで応援しています!頑張ってください、楽しみにまってます!! (2020年6月30日 18時) (レス) id: 6ebda506cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バンビ | 作成日時:2020年1月2日 17時

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