第13話 ページ15
主人公side
_______夕方。
バイクを飛ばし、待ち合わせ場所の喫茶店に向かう。
今日は変に緊張して早くに目が覚め、朝から学校に向かったが一日中授業、というのは耐えきれず昼飯を食べた後の授業からは屋上で時間を潰してた。一服してからぼんやりと雲を数えていたらいつのまにか寝てしまっていたようで、ついさっき起きたばかり。
起きた時にはすでに待ち合わせ時間は過ぎ、2人は先に入っていると連絡が入っていた。
うわぁ、やらかした……、寝過ごしたなんて言ったら怒られるんだろうな、いや桜乃ちゃんは怒らないか。
バイクを駐車スペースに停め、鞄を持って喫茶店の扉を開けた。カランコロンと聞きなれたドアベルが鳴る。
このレトロな喫茶店【シナモン】は学校に行く前だとか帰りだとか、割と頻繁に通っている店で、何人かの元カノと来たこともある。コーヒーが美味い。色々美味い。
だいたいは俺がここでコーヒー飲んでるのを知ってるからか、青学の奴らは此処をあまり利用しない。
考えてみりゃ、ここに来るのは付き合う前の元カノか喧嘩売ってくる奴らだったな。ここの常連だってのを知ってれば俺目的の奴らが来るのは当たり前か。
「いらっしゃいませ。いつもの席空いてますよ」
「ああ……、と。今日は待ち合わせなんだ」
優男風の若い店主はちょっとした知り合いで、俺が訪れる度によく声をかけてくる。
ここは副業、というよりも完全に趣味でやっているらしく、あまり客が来なくても気にしないと以前言っていた。学校近くに店構えてんのにすげぇ余裕だな、とたまに思ったりする。
「珍しくですね。いつもはしてもない待ち合わせをしている側なのに。それにしても今日は随分可愛い子達と」
クスクス笑う店主は窓際のひと席を指差した。
朋香side
「待ち合わせに遅れる男は駄目ね」
「東さんも忙しいんだよ、もうちょっと待とう?」
困ったように笑う桜乃に少し呆れつつ、メニューに目を通した。美味しそうなメニューの割に客の少ない店内に少し不思議に思いながら、なにを頼もうか考えている時だった。
カランコロンとなるドアベル。
少しして私達のいる席に近づいて来る男にやっと来たか、というか苛立ちがあった。
文句の1つでも言ってやろうとメニューを閉じて男の方へ言葉を出しつつ視線を向けた。
「ちょっと!遅れて来るなんていいご身分_____」
男の余りにも綺麗な容姿に私の言葉は最後まで紡がれることはなかった。

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バンビ(プロフ) - 猫好きさん» ありがとうございます。更新がゆっくりになってしまっていますが、続編をポチポチと作成していますのでそちらも続けて読んでいただけるように頑張らせて頂きます。 (2020年9月4日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
猫好き(プロフ) - とても面白いです!続きが楽しみなので、これからも更新頑張ってください! (2020年9月3日 18時) (レス) id: 9581fd09d5 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - わんにゃんさん» ありがとうございます。中々更新できず申し訳ありません!!できるだけ早く更新できるよう頑張らせて頂きます。 (2020年7月2日 21時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
わんにゃん - とても面白くてこの作品大好きで応援しています!頑張ってください、楽しみにまってます!! (2020年6月30日 18時) (レス) id: 6ebda506cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2020年1月2日 17時