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獪岳が本当に鬼になっていたのなら、活動範囲は夜に絞られる。師範に言ったら絶対に怒られるので、内緒で屋敷を出た。
屋敷を後にして向かったのは、上弦の壱と対峙した所。つまり最後に獪岳を見たところだ。
四方八方に散っていた血痕は、3ヶ月もすれば殆ど無くなっていた。
崩れるように、雪崩込むように、その場に膝をつく。
「会いたい……会いたいよ獪岳……」
呟くように出た言葉はあまりにも稚拙な言葉だった。すると目の前に鬼が現れた。日輪刀なんて持ってきてない。死にたくない、まだ獪岳と会えてないのに。
しかしその鬼の頸がゴトリと落ちた。私の前に立つ彼は、見慣れた刀身を鞘に閉まった。滅なんて文字は書かれてないけど、私はその背中に憧憬と恋情を持っていて。
「こいつは俺の餌だ。勝手に手ェ出すんじゃねぇよ」
獪岳だ。聞き慣れた低い声も、月光に照らされても変わらない真っ黒の髪の毛も。私が焦がれ想い続けてきた獪岳だ。
「なんでいんだよ、さっさと行けや」
獪岳は私に背を向けたまま言った。
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獪実 - 更新ファイト! (2020年12月20日 14時) (レス) id: b597321c9c (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - pockyさん» ありがとうございます!嬉しいです! (2020年6月30日 20時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
pocky - オォー面白いですね!更新頑張ってくださいね (2020年6月30日 18時) (レス) id: 67e63b3be0 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 冬咲(ふゆざき)さん» 他の作品まで読んでくださったんですね!嬉しい……。確かに善逸はメインキャラなので善逸が正しい、とかそういう雰囲気で話は進んでいきましたが、この話でそう思っていただけたのはめちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます (2020年5月28日 18時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
冬咲(ふゆざき)(プロフ) - 他作品の小説であかねさんを知り、せっかく知っているジャンルだからと思って読ませて頂きました。私は前まで善逸を贔屓目で、獪岳に好印象は無かったのですが、この作品を読んで獪岳が好きになりました!後半はずっとボロ泣きで……素敵な作品をありがとうございます! (2020年5月28日 18時) (レス) id: af894d210e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2020年2月27日 0時