追伸 ━━━━━。【獪岳】

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獪岳が姿を消して3ヶ月が経った。体力と時間が許す限り獪岳のことを探して探して探し回ったし、手紙だって送った。けれど手紙は私の元へ返ってくるだけだった。









師範は「どこかで野垂れ死にしているのではないか」と明らかに私を諦めさせるための詭弁を並べていたが、全部聞き流した。









ある日我妻くんが屋敷を尋ねてきた。師範の柱稽古は終わってるはずで、彼は今岩柱様の稽古だったはず。彼はその琥珀色の瞳に確かな怒りの炎を宿していた。









「兄貴……獪岳がどこにいるか知ってる？」

「今探してるんだけどね。足取りが掴めなくて」









力なく笑うと彼は一通の手紙を持ち出した。









「この手紙に書いてあったんだけど、獪岳は鬼ーーー」

「やめて！！」









大声を張り上げて我妻くんの話を遮った。我妻くんが言おうとしている事も詭弁だ。私は自分の目で見たものしか信じない。









「爺ちゃん、腹切って死んだんだ…………。獪岳が！鬼になったから！」









1番聞きたくない事だった。だから耳を塞いだ。それでも私の耳に届くぐらいの大きな声で告げる我妻くんは残酷な人だと思った。









嫌だ嫌だ信じないと左右に首を振り、気がつけば情けないことに歳下の男の子の前で涙を流し、片肺の機能を失い呼吸器が弱っている私は過呼吸を起こして倒れた。

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