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顔に朱が差す師範を横目に蟲柱様から、急にいつもの笑顔が消えた。
「伊黒さんの継子であるあなたがここまで大怪我を負ってくるなど、今まではありませんでした。遭遇したのは上弦の鬼ですか?」
昨日の事のようにまざまざと鮮烈に思い出せるあの恐怖。布団から出していた手がカタカタと震えた。それに気づいた蟲柱様が手を握ってくれる。手のひらの温かさで落ち着きを取り戻した。
「上弦の、壱と刻まれてました」
そこまで言って漸く思い出す。上弦の壱を相手に額を地面に擦り付けていた彼のことを。
「生き残った隊士の中で、勾玉の首飾りを付けた隊士はいませんでしたか?」
蟲柱様は考えるような仕草をして「いませんでしたよ」と告げる。死んでしまったの。獪岳。
「だが俺が応援に駆けつけた時、隊士の死体の中にもそんな奴はいなかったぞ」
師範の言葉で詰めていた息をほっと吐く。よかった、獪岳はきっと生きてる。あれだけ生に固執していた人だ。逃げ切ったんだ。逃がして貰えるように交渉したんだ。
近いうちにきっと帰ってくるだろうと盲信していた私は、愚かで滑稽な女だった。
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獪実 - 更新ファイト! (2020年12月20日 14時) (レス) id: b597321c9c (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - pockyさん» ありがとうございます!嬉しいです! (2020年6月30日 20時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
pocky - オォー面白いですね!更新頑張ってくださいね (2020年6月30日 18時) (レス) id: 67e63b3be0 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 冬咲(ふゆざき)さん» 他の作品まで読んでくださったんですね!嬉しい……。確かに善逸はメインキャラなので善逸が正しい、とかそういう雰囲気で話は進んでいきましたが、この話でそう思っていただけたのはめちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます (2020年5月28日 18時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
冬咲(ふゆざき)(プロフ) - 他作品の小説であかねさんを知り、せっかく知っているジャンルだからと思って読ませて頂きました。私は前まで善逸を贔屓目で、獪岳に好印象は無かったのですが、この作品を読んで獪岳が好きになりました!後半はずっとボロ泣きで……素敵な作品をありがとうございます! (2020年5月28日 18時) (レス) id: af894d210e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2020年2月27日 0時