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目を覚ましたら蝶屋敷だった。点滴の入れ替えをしようとしていたアオイさんが、私が目を覚ましたことに気づいて蟲柱様を呼びに行ってくださった。
バンっと扉が開いて駆け寄ってきたのは師範だった。その後に続くように蟲柱様も来てくださって私の現状を説明してくださった。
「Aさんの左肺はもう機能していません。ですので……全集中の呼吸はもう使えません。胃も3分の1ほど切られましたが、胃は回復するのでそこは安心してください」
「呼吸が使えないっていうことは……剣士としてはもうダメと言うことですか?」
出た声は掠れた声だった。蟲柱様が美しい顔を歪めながらゆっくりと頷いた。私はこれからどう生きていけばいいんだろう。気づけば縋るように師範を見ていた。私の視線に気づいたのか、目元を和らげて
「安心しろ、剣士じゃなくとも貴様はずっと俺の継子だ。行く宛がないのぐらいわかっている。俺の屋敷で女中として働けばいい」
「ありがとう……ございます」
「しかし2週間も目を覚まさなかったのは頂けない。何度危篤状態に陥って肝を冷やしたか。少しは自分の身も案じろ。あと甘露寺にも心配かけたからな、謝っておけよ」
「……はい」
「伊黒さん素直じゃないですねぇ。心配したなら心配したと言えばいいのに。1番Aさんが目覚めるのを待っていたのは伊黒さんなんですよ」
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獪実 - 更新ファイト! (2020年12月20日 14時) (レス) id: b597321c9c (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - pockyさん» ありがとうございます!嬉しいです! (2020年6月30日 20時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
pocky - オォー面白いですね!更新頑張ってくださいね (2020年6月30日 18時) (レス) id: 67e63b3be0 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 冬咲(ふゆざき)さん» 他の作品まで読んでくださったんですね!嬉しい……。確かに善逸はメインキャラなので善逸が正しい、とかそういう雰囲気で話は進んでいきましたが、この話でそう思っていただけたのはめちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます (2020年5月28日 18時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
冬咲(ふゆざき)(プロフ) - 他作品の小説であかねさんを知り、せっかく知っているジャンルだからと思って読ませて頂きました。私は前まで善逸を贔屓目で、獪岳に好印象は無かったのですが、この作品を読んで獪岳が好きになりました!後半はずっとボロ泣きで……素敵な作品をありがとうございます! (2020年5月28日 18時) (レス) id: af894d210e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2020年2月27日 0時