12階 ページ18
Aちゃんの家は
オートロックのマンションの12階
エントランスで部屋番号を押して
「玉森です、」
A『…はーい』
声と同時に自動ドアが開いた
俺は急いでエレベーターに乗って
12のボタンを連打する
何回押しても早くなんてならないのは
わかってるけど、
心配で、焦っちゃって
ずっと落ち着かなくて。
俺の気持ちに反比例して
エレベーターの上がるスピードが
すごく遅く感じる。
こんなに誰かを心配したのははじめてで
本当に余裕がなくなってる自分に
ちょっとびっくり。
部屋に向かって足早に歩いていると
フロアにある4部屋のうちの
1つの扉が開いて
やばい、と帽子を深く被り直して
開いた方を伺えば
いつもよりとろんとした目で
こっちを見つめるAちゃんが立ってた
A「本当に来てくれたんだ」
弱々しくそう言って
A「わざわざごめんね。でも、…なんか不謹慎だけど嬉しい、ありがと」
えへへ、なんて
今にも消えそうに笑うから
やっと会えた安心感と
募りに募った不安が相まって、
なんかこっちが泣きそうになって
なんとも言えない感情でいっぱいで。
Aちゃんの細い手首を掴んで家の中に
引き入れて、
後ろ手でドアを閉めて
「…寝ててって言ったじゃん」
A「あ、ごめ、 わ！」
また謝ろうとするAちゃんを
ぎゅーって
抱きしめる
A「え？え？」
腕の中であわあわしてる彼女は
思ってた何倍も細くて
俺が力を入れたら
簡単に折れちゃいそうで、
「…心配で死にそうだった」
A「ふふ、そんなことで死なないでよ。悲しいじゃん」
その細い首に顔を埋めると
高過ぎる温度が伝わってきて、
熱があって、歩くのだって辛いだろうに
わざわざ玄関まで出てきてくれたのかと思うと
もうなんか
すごい愛おしくて
俺が守ってあげなきゃって。
突き放されても
なかなか思ったようにいかなくても
態度がどんなに脈なしでも
この子だけは
絶対誰にも渡したくないって
改めて思ったんだ。
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くまこ(プロフ) - akubiさん» 嬉しいです！本当にありそうなリアリティあるお話を目指して、これからも更新していこうと思うので是非遊びにきてください^_^ (2019年12月6日 21時) (
レス) id: 9b703cb6ff (このIDを非表示/違反報告)
akubi - 本当に起きてるみたいで、読んでいてドキドキします！更新頑張ってください！楽しみにしてます。 (2019年12月6日 21時) (レス) id: d1c5f81421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くまこ | 作成日時：2019年12月3日 18時
