深澤辰哉Episode0 ページ1
後悔する前にやれ
昔からずっと言われてきた
分かってた
分かってたはずなのに
「滝沢くんっ！！！」
目の前で大切な人が撃たれて
その言葉の重大さに気付くなんて
「っ、何泣きそうな顔、してんだよ・・・」
「しゃべらないでください！！！
今、止血をっ」
手が震える
落ち着け俺
震えを止めろ
早くっ！！！！
そんな手をギュッと握ってくれたのは
いつだってこの人だった
「もういい、
大丈夫
自分の終わりくらい、分かる」
「嫌だ、死なないで滝沢くん
俺、滝沢くんがいなくなったらっ」
涙で前が見えなくなる
「お前はもう、一人前だろっ？
俺がいなくても、大丈夫っ」
「大丈夫じゃないっ！！！！
大丈夫なわけがっ・・・」
「深澤」
ふいに名前を呼ばれた
「俺は、もうお前と一緒には、居れない
だから
お前が
お前自身が、背中を任せられる仲間を、見つけろ」
「えっ・・・？」
「一人じゃ出来ないことも
仲間がいれば、成し遂げられる
俺の経験談だ、覚えとけ」
滝沢くんが前に話してた
翼くんって人のことか・・・？
「俺、滝沢くん以外にそんな人見つけられないっ」
「ったく、そういうところは、昔から変わらねぇな
大丈夫、見つけられる
俺が嘘ついたこと、あるか？」
「・・・っない」
「だろ・・・？
だいじょ、ぶ、お前は、
一人じゃ、ない」
ｶﾞｸｯ
「滝沢、くん？
ねぇ、起きて、起きてくださいよっ、
うっ、
うわあああああああああああ」
20××年×月×日
それは俺が大切な人を亡くした日
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作者名：春のクマ | 作成日時：2022年8月4日 21時
