重なる ページ19
sideマサイ
小川「生地は何種類か預かってて、色はコッチのサンプル帳から選んで欲しくて…」
机にいろんなサンプルを並べて話すAさん。
その顔は、さっきとは違う生き生きとしたいつものAさん。
今日は、オヒィスカジュアル。白いテロっとしたシャツにベージュのパンツスタイルで、Vの白シャツから覗く鎖骨が色っぽくて、いい。なんて、ふと思う。
小川「あとね、写真集のレイアウトはある程度は変更効くし。文章とか入れたいとか何か要望があればさらに手直しはできるんだけど…」
ふわっとしたスカートとか似合いそうなのに、履いてる所見た事ないな…
本当は仕事の話をしなきゃいけないのに、わかってるのに。2人っきりの空間で、全然頭が仕事モードにならない。
小川「マサイ、くん？」
「え？あ！はい？」
頬杖つく俺に前のめりに急に近づくAさん。
近っ！って慌てて仰け反る俺。
小川「聞いてなかったでしょ？」
「いや。ちゃんと、聞いてたよ！スカートの事とか考えてないからっ！」
小川「スカート？」
「いやっ！あ、違う！」
小川「何？また、女装する企画でもするの？」
首を傾げて。口元を手で隠しながらクスクス笑う。
いちいち可愛いとか、どうしようか。
直視できなくて、目線を逸らす俺。男らしくないなー。そう思うけど、無理なもんは無理だ。
「しないから！もー、流石にキモいでしょ？」
小川「そうかな？可愛かったけどなー」
いや、可愛いのはアナタですから！
と、心で叫んでみるものの。本音は口に出せず、ただモゴモゴするばかり。
…情けねぇ。
小川「今度はナースとかどう？」
「だから、やんないって！」
小川「じゃーミニスカポリスとかは？」
「もーAさんっ！」
あまりにからかうAさんを止めたくて。
力任せに立ち上がると、思いの外机が動いてその上にあった書類が、何枚か下に落ちた。
「ごめんっ！すぐ拾う…」
小川「私もっ＿＿＿＿_」
2人で跪くと、漫画みたいに重なる手。
ドキッと胸が軋んだ。
触れた手は夏なのに、ひんやり冷たくて。俺ばっかりあまりにも熱いんじゃねーか？って、手汗ヤバくね？なんて。考えながらも、触れた手に感情が高ぶった。
小川「…私、冷え性なんだよねー。手、冷たいでしょ？」
スルスルっと、どちらからともなく離れる手と手。
名残惜しいとか、思うくらいなら握りしめろよって掌を見つめて見ても
そんな勇気は出なった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひろ(プロフ) - かなとさん» コメントありがとうございます。すいません。外すのを忘れてました。ご指摘感謝します。 (2019年10月19日 11時) (
レス) id: 5f80a217b3 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の注意文をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です。ご本人様方にも迷惑がかかります。ルールというものをちゃんとご確認下さい (2019年10月19日 8時) (レス) id: fca7c03b31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
