第138話 ページ45
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仲間のピッピが「早く早く！」と言わんばかりに「ぴっぴー！」と鳴いているが、立ち止まったピッピは急いでいる様子はない。
そのピッピはこちらにちらりと目配せをすると、何かを地面に置いて、小さく手を振ったあと、
「ぴっぴー！」
と「今行くよー！」と言うかのように鳴いて仲間のピッピに続いていった。
「……行っちゃいましたね」
「ああ」
「すみません、私が大きな声出したばかりに……」
「いや、気にすんな。写真も撮れたんだしな！それよりも、あの足遅いピッピがいたとこ、なんか光ってねえか」
確かにグリーンが言う通り、小さく何かが月光を受けて光っている。
「見に行ってみますか」
「おう」
ピッピがいたところに足を運んでみると、何かが落ちていて、それが月光を受けて光っていたようだった。
「……これ、つきのいし！？」
そこにあったのは、何種類かのポケモンの進化に必要な、「つきのいし」だったのだ。
「ピッピは月に深く関係するポケモンだし、野生のピッピはごくまれにつきのいしを持っていることもわかってる。アイツはそういうピッピだったんだろうな」
「でも、わざわざ置いて行ってくれるなんて……」
「それはあのピッピがAを気に入ったんだろうよ。せっかくだしもらっていけよ」
「わかりました。大事にしなくっちゃ」
「そうしとけ」
Aはハンカチでつきのいしを包み、鞄の中に仕舞う。
「さて、今日の目的は一応全部達成したわけだが、このあとどうする？どこか行きたいところあれば付き合うぜ」
「そうですねえ……特に行きたい場所っていうのは決めてないんですが……今何時でしたっけ」
スマホを見てみると、20時45分といったところか。
「もうすぐ21時……なんとも微妙ですね」
「まあでも今日冷え込んでるしな、いつまでも屋外にいるのは風邪ひいちまうよな……」
というわけで、ちょっと時間は早いが、二人はAが泊まっているホテルに戻ってきた。
「ククイ博士はもう戻ってきてんのか？」
「あー……まだだと思います、多分アララギ博士に捕まって飲み会行ってると思うんで……」
「なるほど。俺たちもどっかで少し飲んで時間潰すか？」
「いえ、私あまりお酒飲めないので、そこは遠慮します」
「そうか、気ィ遣えなくて悪い」
「いえ……」
その時だった。
「ぶい〜！」
なぜか号泣しているイーブイが、Aの足下に飛びついてきた。
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年8月3日 23時
