第131話 ページ38
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「やあアララギ博士！またうちの妹に絡んでいるのかい？」
ククイ博士がが苦笑しながらやってきた。
「あらら？絡んでいるとはどういうこと？私は普通にお喋りしてるつもりなんだけどなー？」
「本当かなあ〜」
「ところでククイ博士、今日は奥さんは一緒じゃないのね」
いつもククイ博士が学会に来るときには、学会所属ではないバーネット博士も見学に来ているのである。
「バーネットは今エーテルパラダイスの皆さんといろいろ進めてるんで、今日もそのミーティングがあるみたいで」
「あらら残念。お話聞きたかったのに〜」
「伝えておきますよ。それはそうとA、時間大丈夫かい？」
「あっ」
「待ち合わせ、何時だったっけか」
「18時半……やばいもう17時半前だ！」
「片付けとかは僕が引き受けるから、Aは早く支度に行くといいぜ！しんそくの勢いでな！」
「うん！じゃあアララギ博士、すみませんがお先に失礼します！」
パタパタと慌てて走っていくAを見送ったアララギ博士は「あらら？あの子どうしたの？」と首を傾げる。
「実は今日の夜、友人とご飯に行こうって話をしていたようでね！」
「カントーのお友達ってことね。うんうん、若いんだからお友達とたくさん交流するのはとっても大事だわ！」
ククイ博士が内容を濁して答えたのは、グリーンと出かけることを話してしまえば、Aが後からアララギ博士にグイグイ聞かれるのが目に見えているから。
同世代と交流することがあまりない妹。その妹が楽しそうに交流し、また向こうも妹と交流することを楽しく思ってくれている。
ならば兄としては、妹が思うように動けるよう応援してやりたいのだ。
「もうっ、しょーがないからククイ博士！この後飲みに行くの付き合ってよ！プラターヌ博士とかウツギ博士、あと珍しくオダマキ博士もいるから！」
ああ、これはもしや明日は二日酔いコースなのではなかろうか。
そんな悟りのような感覚を覚えながらも、「はいはい、んじゃあ片付けしちゃわないと」とククイ博士は人のよい笑みを浮かべるのだった。
一方、Aは大急ぎでホテルの自分の部屋に戻ってきた。
白衣とスーツ、ストッキングを脱ぎ捨て、慌ただしく昨日買った服に着替える。
髪型もただの一つ結びでは味気なかろうと、ハーフアップにしてバレッタをつけてみる。
メイクも改めて整え、ちょっとだけグロスも重ねてみる。
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年8月3日 23時
