第114話 ページ21
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「普通初対面の異性に宝石なんて渡すかよ……？」
眉間に皺が寄ったままのグリーンが不機嫌そうに呟く。
「ギーマならやりかねないのが怖いところね」
カトレアはふう、とため息をついた後、
「でもこれはあまり心配しなくてもいいわよ」
と続けた。
「心配って」
「あら違ったの？グリーンさんはてっきり、ギーマがAさんを落とそうとしてるんじゃないかって心配してるものだと思ったけど」
「っば、そんなんじゃねえよッ」
とは言うものの、当のグリーンは若干顔が赤いので、説得力はない。
「それでカトレア、心配しなくていいっていうのはどういうことなの？」
シロナが興味津々でカトレアを見る。
「これはイッシュではお馴染みの『ジュエル』と呼ばれるものなんだけど。こんなに綺麗なのに、バトル用の消費アイテムなのよ」
「「えええ！？」」
その場にいる全員が目を丸くして叫ぶ。
「え、ええ！？バトル用アイテムなの！？」
「消費アイテムってことは、比較的簡単に複数入手が可能なんですか？」
ミツルが尋ねると、カトレアも「ええ、難しくないわよ」と頷いた。
「イッシュではネジ山とかでよく見つかるの。効果は『一度だけ対応するタイプの技の威力を上げる』というものよ」
「じゃあ、例えばみずタイプの技を覚えているポケモンがこれを持って戦う場合、一番最初にみず技を放つ時には消費して威力を上げられるってわけですね！」
「そういう事。だから例えば特性が『よわき』であるアーケオスなんかは、『アクロバット』を覚えさせていればとても相性がいいアイテムね」
「なるほど、HPが半分以下になると攻撃力が弱まってしまうアーケオスなら、一度目しか強化できないってデメリットもそこまで気にならないものね。素早いからダメージを受ける前に攻撃するのは容易だわ」
「『アクロバット』なら、アイテムを消費した状態で技を繰り出すことになるから高威力で撃てる……もともとの攻撃力の高さも相まって破壊力は恐ろしいね」
シロナとAが考察している中、「で！」とグリーンが大きな声を上げた。
「これも『ジュエル』なんだろ？どのタイプのジュエルなんだ？」
「見たままよ。真っ黒腹黒、あくタイプよ」
「あくタイプ……？Aにあげるには似合わなすぎだろ」
「そうね……でもね」
「ん、なんだよ？」
「彼の担当している得意タイプ……それがあくタイプなのよ」
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年8月3日 23時
