第95話 ページ2
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ポニの険路。
美しくも厳しい自然が残るポニ島において、唯一の集落「海の民の村」から最も遠く離れた場所である。
「はー……まだ、先があるのかあー……」
黒髪の、ボーダーシャツにハーフパンツという爽やかなスタイルの少年が、深くため息をついた。
彼がこんな険しい場所を歩いているのには、ひとつ理由があった。
それは昨日の朝。
彼がアローラの初代チャンピオンになった翌日のこと。
いつものように遊びにきた友達のハウが、「バトルツリー」という言葉を発したのが始まりだった。
一緒にいた母親が「バトルツリーってなあに?」と聞き返すと、ハウは楽しそうに説明してくれた。
「ポニ島の奥の奥!島巡りをこなした人やそれに相当する強さのポケモントレーナーが競い合う場所があるんだってー!」
何やら相当なツワモノ揃いの場所があるようである。
彼は少なからずその場所に興味が湧き、せっかくならと行ってみることにしたのである。
そして現在、ハウとの会話から丸一日ちょっと。
途中でポニの花園などに寄り道をしていたせいで、ここまで来るのがだいぶ遅くなってしまったが、おそらくこのポニの険路を抜けた先が、ハウの言う「ポニ島の奥の奥」にあるという場所だ。
「にしても、ここらのトレーナー超強いんだけど……」
一応アローラチャンピオンの身ではあるが、ポニの樹林に入ったころから、道中のトレーナーがかなり強いと感じるようになってきた。
やはりこの厳しいポニ島の環境で鍛えているだけあって、どのトレーナーもポケモンをよく育て上げている。
この先に何が待ち構えているのかは予想がつかないが、ハウの話を聞く限りはツワモノの巣窟。
そして道中のトレーナーがこんなにも強い。
「……俺なんか結構ヤバいところに行こうとしてんじゃないかな……」
なんとなく怖くなってきて、歩調が遅くなる。
《なんだか足取り重いロト……緊張してるロト?》
ロトム図鑑が鞄から飛び出てきた。
「あ、ロトム……いやあ、なんかこう、俺ヤバいところに向かってんじゃないかなーとか思ったり……?」
《大丈夫ロト!アローラチャンピオンになったその強さ、ロトムは信じてるロト!》
「……うん、ありがと!なんか元気出てきた!」
《良かったロト!さあ、目的地はもうすぐロト!》
「うん!行こう!」
再び力強く踏み出したこの少年こそ、アローラリーグ初代チャンピオン、ヨウである。
今回はSM男の子主人公で行くことにしました!
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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年8月3日 23時