くじら一家の末っ子くん part2 (ページ28)

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くじらが74匹ページ28

今目の前で行われている光景を、おれは口をあけて、みてしまった
横にいるサッチはおーおーやってるやってると言っているし周りのやつらも観戦モードなところを見るとこの光景はいつものことらしい

『よっ、ほっ、』

軽い掛け声と共に、迫りくる木刀の攻撃をよけるAの目には、黒い布が巻かれていた

「…これ、何してるんだ」
「何って、訓練だけど」
「当たり前みたいな顔するなよ…。A目隠ししてるし」
「そういう訓練だからなぁ」

サッチに聞いても、こいつにとっては当たり前すぎて俺が疑問を持つことが疑問らしい

「Aは見聞色の訓練、他のやつらは普通の訓練をしているんだ」

サッチの代わりに答えたのが、確か…ビスタといっただろうか

「はぁーい、時間切れ！次のやつら準備してー
当てられなかったやつはメニュー二倍だからねぇ～」
「ぐあ～～！！きちぃー！！」

小柄な剣士…ハルタ、の声に先程までAに迫っていた男たちはそう一斉に叫び出した

「こりゃあまたAの一人勝ちか？」
「マルコが入ってこなければ、恐らくな」
「え？マルコ？」
「おう、あいつたまに乱入してくるんだよ」

面白いぞ～、と笑うサッチとビスタからおれはAに目線を向けた
口元は弧を描き、見えないはずの目はきっとキラキラ輝いていることが想像できた