くじら一家の末っ子くん part2 (ページ38)

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くじらが84匹ページ38

島への侵入も、建物への侵入も成功した
まあ、途中で１人に見つかったからちょっと失敗したけども…

けれど、そいつから色々と情報は聞き出せた
地下に拐った人はいる
俺は見聞色をしっかりと使いながら先を急いだ

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こんな立派な建物をだが、セキュリティは甘々らしい
俺は無事に地下の牢獄にたどり着いた

これから自分はどうなるのかという不安で泣いている人々は若い女性男性や子供、沢山いた

『…もう大丈夫』

俺の呟きに、下を向いていた子供が俺をみるので、俺はにっこりと笑った

『助けに来た。』
「お兄ちゃん、助けてくれるの……？」
『勿論。人が来たら不味いから、騒いじゃダメだよ』

しぃ、というと子供はうん、とうなずく
拐われた人たちも、俺を見つめる
彼らの首には首輪が嵌められており、それは天竜人が着けさせていたものとよく似ていた

「首輪は鍵で外さねぇとダメなんだ……！」
『鍵は？』
「ここの頭が持ってる…！！なぁ、本当に助けてくれるのか…！！？」

俺にそういう男の人の目に、不安、疑い、そして微かな希望が宿っているように見えた

勿論、とまた答えようとしたが後ろから何か来るのを感じた

ﾌﾞﾝｯ！！

頭めがけて振りかざされたのは鉄パイプだった
俺は避けて、振りかざした人物をみる

シルクハットに、長いコート
振りかざした鉄パイプをくるくると回し、肩にのせた

『…だれ？』
「お前こそ誰だ」
『悪いけどさ、あまり大騒ぎはしたくないんだよね
早くこの人たちを助けなくちゃ…』

ｶﾞﾁｬﾝ!!

言葉の途中で、扉が開くおとがした
振り返ればいたのは人拐い集団の１人

「なっ！！貴様ら誰っ、ｶﾞｯ」
『騒がないでってば』

すぐさま、鳩尾に一発いれて黙らせる
そして改めて鉄パイプ男と向き合うと、へぇ、と笑っていた

「どうやら目的は同じらしい
あんたもこの人たちを助けるんだろ？」

男がそういうと、檻の中の数名が彼に総長！と駆け寄った

「おう、助けに来た」
『成る程、お兄さんはその人たちを助けに来たんだ

じゃあさ、手を組まない？』

その方が効率いいでしょ？と笑えばお兄さんも笑う

「嗚呼、お前名前は？」
『A、だよ』

お兄さんは？
そう問えば、お兄さんは帽子を少しあげて見せる
つばでよく見えなかったが、きれいな金髪で、俺からみて右側に大きな火傷を負っていた

「俺はサボだ。」

こうして一時的な協力関係が出来上がった

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