お魚はどうしてすれ違う？ (ページ37)

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運命は、変わり始めた。 7 ページ37

ダーマside

モトキがドアを開けてくれたのはいいけど、その時のモトキの笑顔は、誰も気付かないくらい微かに悲しみを帯びていた。

こいつはいつもそうだ。

本当はどう思ってんのか分からない笑顔をいつもしている。

それはまるで、ステージの上で仮面を付けたまま1人で踊り続けるように。

この仮面を引き剥がしたい。

そう思った俺は、前を歩くモトキを後ろから抱きしめて言った。

「何でそんな顔してんだよ。」
「え……。」
「他のメンバーは気付かないだろうけど、俺には分かる。なんかあったろ。」
「な、何もないよ！」
「嘘。」

図星か。

何せこいつは嘘も上手い。

でも今回はバレバレだ。

なんでかな、昔から俺、ぺけたんが好きだったのに、モトキの事をずっと見てた気がする。

変だなぁ……。

そんじゃ、本題に入ってみるか。

「で？なんかあったの。」
「何、も…ない。」
「ちゃんと言え。じゃないと分からない。俺はテレパシー出来ないんだぞ。」
「っ……し…れん…。」
「え？」
「失恋したんだ……。」
「！！！」

ポソリと呟いた言葉に、俺は驚きを隠せなかった。

逆に、隠せる奴に会ってみたい。

だって好きな奴が失恋したなんて……嬉しいような、悲しいような……悔しいような。

「誰か、好きな人でも……？」
「っ…！…しる、く…すき、だ、た…のに、き、と…まさ、いのこと…好き……」

泣きながらそう言うモトキを俺は抱きしめた。

俺の胸に顔を埋めるモトキは涙で俺の服を汚していく。

ただ、仮面を外したかった。

でも、こんな思いするくるいなら、外さないほうが良かったのかもしれない。

ずっと泣いているモトキをギュッと、強く、強く抱きしめる。