＊ ページ42
この男に出会ったときのことなんて想定していない。
私はこの男のことを全然知らないが、ゾムとは親しくしているはずなので、下手なことは喋れない。
私はしどろもどろになっていた。
｢俺がしつこく誘ってもカジノなんかに行きたないわ！って断ったのになあ｣
｢……別に、気まぐれやわ｣
｢ほーん、もうゲームはやってみたん？……つってもそのチップの山を見れば分かるけど｣
鬱はコーヒーを片手に遠慮なく目の前の席に座る。まさか、ここに居座るつもりか……？
そしたら、周囲の観察や席を立つタイミングを妨害される可能性が高くなる。
｢まぁまぁやな。今日はもうええわ。大先生こそどうなん｣
｢俺はさっき来たばっかやからな〜。これからちょっと遊んでこようと思っとるわ。……ちなみにどのくらい稼いだん？｣
｢5倍だから……20万くらいやと思うわ｣
｢初めてにしてはかなりええ方やん！｣
鬱はわざとらしく小さく拍手をする。その一つ一つが芝居がかっている。
鬱は目を糸のように細める。じっと探るように見つめられている気がした。
｢ただ、それは一般人だったら、やな。ゾムだったらその程度じゃ……刺激が足りひんと思わん？｣
｢……｣
｢本当はVIPしか入れないんやけどなあ、俺が居れば入れるで｣
鬱はこちらに顔をぐいっと近づけて妖しい笑みを浮かべた。
これからどうする？
頭の中は熱くなり、歯車が急速に回転しはじめたような感覚がする。
『Aさん。冷静に。大丈夫です、断ってください』
その言葉にハッとして我に返る。
｢……やっぱり今日はもうええわ。疲れたしここでしばらく休憩したら帰るつもり｣
｢……そっか！なら俺だけで行ってくるわ。ところで今日は誰かと一緒に来たん？｣
その言葉に一瞬固まってしまう。見られていたのか？その上で聞いているのか。この質問の意図はなんなのだろう。
変に誤魔化したらボロが出るかもしれない。
いや、見られて困ることなんてあるのか？
でも、作戦は他の幹部にも内密にするように言われている。
『上手く逸らして……いや、最近知り合った人ということにしてください』
｢……どしたんゾム、さっきから目がキョロキョロしとるで｣
｢……疲れてるんかな。そいつはさっき知り合った奴｣
｢ま、女には優しくした方がええで〜。随分怒らせたみたいやん。その頬の跡｣
｢お前が言ったらアカンやつや｣
鬱は私の頬を指で指す。推測だったのか？
鬱はまたコーヒーに口をつけ、息を吐き出した。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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みやこ - 貴方様が紡がれるストーリーやキャラの描写、言葉選び全てがあまりにも素晴らしく、飲まれるように一気に拝読させていただきました。zmと夢主の関係性やこの後の展開がどうなるのか思いを馳せながら続編が開く時が来るのをとても楽しみにしております。ご自愛ください。 (10月15日 2時) (
レス) @page50 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - もっと早くに見つけてればよかった…！！！めちゃめちゃ好きです、続編開くの待ってます…！ (8月25日 14時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
暇人パーリナイ(プロフ) - とても素晴らしい作品で愛読させていただいてます、続編が開放される時を楽しみに日々過ごしています。更新頑張ってください。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: 6c369c24d6 (このIDを非表示/違反報告)
mailnoadodapo(プロフ) - 何かもう最高すぎてやばい……やばい!!←大事なことなので2回言いました、貴方の作品初めて読んだんですけど、まじで好きです (*´ω`*)これからも推させていただきますね (2020年7月8日 4時) (レス) id: 71f963574a (このIDを非表示/違反報告)
おじ - 久しぶりの更新とても嬉しいです！疲れない程度に更新頑張ってください！ (2020年1月5日 20時) (レス) id: 9cde916c26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かよ | 作成日時：2019年5月16日 0時
