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「……ショッピ、お前」
「え、なんすか?もしかして奢りじゃないんすか?」
「え!ごめんなさい、やっぱりさっきのナシで!」
「ちょ、違う!……え〜と、Aは安心して座ってて、な?」
拳をグーに握っていたゾムはわたしが顔を上げると笑顔を向けた。額には汗が滲んでいるけれど。
ゾムは「シェフお勧め特別メニュー3つで」と告げた後、ナプキンを2つ折りにして膝に置く。
慣れてないのかぎこちない。
ショッピさんの方を見ると、流石と言うべきか、動作はとても優雅で美しい、と思ってしまう。
「焼き茄子のマリネになります」
「こちらは生雲丹と人参のムース コンソメゼリーになります」
しばらくすると、料理が運ばれてくる。舌が鈍いとよく言われるが、目の前の料理が高級だということは分かった。
ウエイトレスがいなくなったのを見て、ショッピさんが口を開く。
「それで、ゾムさんはどうして俺をAさんに会わせたんすか?」
完全に目の前の料理に気を取られていて、名前が呼ばれたことに過剰に反応してしまう。
「……まさかとは思いますけど、ただ一緒にランチするだけために呼んだんすか?」
私も気になっていたことをショッピさんが聞く。そういえば、ゾムは私を連れ出す時に、会わせたいひとがいる、と言っていた。
「実は、Aに今回の任務に協力してもらいたいんや」
「……へ?」
ゾムはフォークをお皿に置き、ショッピさんに向き合う。
「……俺は反対です。関係無い一般人を巻き込むつもりなんすか」
「今回のターゲットは若い女しか寄せない。俺らじゃ近くにすら近づけないんや」
「仮に近づくことに成功したとして、その後のことは考えてるんすか」
「その後は俺とショッピでサポートすればええやろ」
「ちょ、ちょっと待ってくれませんか!」
2人の会話に割り込むと、2人ともこちらを向く
「任務って、なんのことですか……?」
「Aさんは知らないほうがいいと思います。知ったら巻き込まれることになりますよ」
「確かに、危険やけど、Aは絶対に信頼出来るし、変に新しく雇うより安全だと思うんや」
「使い捨てを雇った方がいいと思います」
「とりあえず、教えてくれませんか。もし、お手伝いができるなら、します。口外しません」
私のハッキリとした言葉に、ゾムとショッピさんは顔を見合わす。勢いで豪語してしまったが、もしかしたら、面倒事に首を突っ込んでしまったのかもしれないな。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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みやこ - 貴方様が紡がれるストーリーやキャラの描写、言葉選び全てがあまりにも素晴らしく、飲まれるように一気に拝読させていただきました。zmと夢主の関係性やこの後の展開がどうなるのか思いを馳せながら続編が開く時が来るのをとても楽しみにしております。ご自愛ください。 (10月15日 2時) (レス) @page50 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - もっと早くに見つけてればよかった…!!!めちゃめちゃ好きです、続編開くの待ってます…! (8月25日 14時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
暇人パーリナイ(プロフ) - とても素晴らしい作品で愛読させていただいてます、続編が開放される時を楽しみに日々過ごしています。更新頑張ってください。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: 6c369c24d6 (このIDを非表示/違反報告)
mailnoadodapo(プロフ) - 何かもう最高すぎてやばい……やばい!!←大事なことなので2回言いました、貴方の作品初めて読んだんですけど、まじで好きです (*´ω`*)これからも推させていただきますね (2020年7月8日 4時) (レス) id: 71f963574a (このIDを非表示/違反報告)
おじ - 久しぶりの更新とても嬉しいです!疲れない程度に更新頑張ってください! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 9cde916c26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かよ | 作成日時:2019年5月16日 0時