紫煙と嘘吐き ページ30
突然のことだった。いつもの様に朝食を買った帰りに突然、赤いマフラーを首に巻いた彼に呼び止められた。
｢あ〜お前。Aっていったっけ。オスマンから伝達頼まれてん｣
そう言って、彼は私に封筒を差し出す。私はおそるおそる受け取る。彼の用事はそれだけだったようですぐにどこかへ行ってしまった。
あのオスマンからの伝達。……正直、開けたくない。見る心の準備が出来ていない。借金のことについてか、いや、ゾムたちのことについてもありえる。とりあえず、ここにただ立っていても胃は痛くなる一方なので、部屋に戻って考えることにした。
.
｢ほー、なるほどな｣
｢つまり、お前は借金を返すまで何があろうと清掃せなアカン。今月サボりまくっとる扱いになっとると……で、期限までに借金返せへんと、相応の代償で支払ってもらうで、てことやな｣
いつもの立ち位置で、ゾムとシャオロンは私にあてられた伝達を読み上げる。
｢清掃業の辞職届け出したのに……｣という言葉を私は大きなため息とともに吐き出す。
｢多分それ受理されとらんわ、多分。誰かが名前を見てシュレッダーにかけてた気がするで｣
｢なんですか、それ………｣
それに、期限という言葉が引っかかる。前は確か借金を返すまで、つまり無期限という話になっていた気がするが。
確かにその紙の上では2年間の期限が与えられている。普通に働いていたら到底稼ぐことの出来ない額だ。しかし、政府の方々は私が地下で働いていることは全く知らないようだ。いまの職なら余裕を持って返済出来るはず。
｢それより、この相応の代償ってなんなんですかね｣
「あ〜多分アレやな」
「せやな〜でも売っても借金の額には全然足りないよな。いや、それ自体が目的か……？」
「アレってなんですか」と私を置いてけぼりにする2人に聞くと、ゾムは普段私に冗談を飛ばすような感じで、自分の目とお腹の下部をを指さしながら言った。
「眼球と腎臓がメジャーやな。あ、でもAは若いし、綺麗やから先にオークションかもしれんわ」
｢その後に風俗に堕とされるかもな｣
自分の耳を疑った。2人の様子は至って平然だったので自分の聞き間違えであることを祈りもう一度聞いたが、その願いは叶わなかったようだ。
｢それってかなりヤバくないですか｣
｢せやな｣
｢せやな、じゃ困るんですけど……！｣
そんな話聞いたことない。臓器売買？オークション？聞きなれない単語に頭が混乱するばかりだ。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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みやこ - 貴方様が紡がれるストーリーやキャラの描写、言葉選び全てがあまりにも素晴らしく、飲まれるように一気に拝読させていただきました。zmと夢主の関係性やこの後の展開がどうなるのか思いを馳せながら続編が開く時が来るのをとても楽しみにしております。ご自愛ください。 (10月15日 2時) (
レス) @page50 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - もっと早くに見つけてればよかった…！！！めちゃめちゃ好きです、続編開くの待ってます…！ (8月25日 14時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
暇人パーリナイ(プロフ) - とても素晴らしい作品で愛読させていただいてます、続編が開放される時を楽しみに日々過ごしています。更新頑張ってください。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: 6c369c24d6 (このIDを非表示/違反報告)
mailnoadodapo(プロフ) - 何かもう最高すぎてやばい……やばい!!←大事なことなので2回言いました、貴方の作品初めて読んだんですけど、まじで好きです (*´ω`*)これからも推させていただきますね (2020年7月8日 4時) (レス) id: 71f963574a (このIDを非表示/違反報告)
おじ - 久しぶりの更新とても嬉しいです！疲れない程度に更新頑張ってください！ (2020年1月5日 20時) (レス) id: 9cde916c26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かよ | 作成日時：2019年5月16日 0時
