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「じゃあ、その薬品について効果とか効果時間もちゃんと記録しておいてくれよ」

「了解しました!」

「あ、シャオロンには俺が渡しとくわ」

「どうせ暇やし」と、ゾムは右手を差し出す。「落とさないようにね」と私はプチプチが入った小さい箱に小瓶をいれて、ゾムに渡す。

「Aくん、朝に頼んだ薬品と、23番の記録はどうなった?」

「薬品はもうできたので、後は移すだけです。23番の記録はここにとっておきました」

私がくられ先生と話し始めたのを見てゾムは「じゃあ行ってくるわ〜」と小箱を持っていった。私はなぜかちょっぴり寂しくなった気がしたが、目の前の仕事に集中した。

.

5時を告げるチャイムがなる。ちょうど一段落ついたところであった。

「くられ先生もう時間ですのでそろそろ帰りますね〜」

私は軽く掃除を済ませ、上着のチャックをあげる。そこでくられ先生が椅子をくるりと回し私を呼び止めた。

「あ〜それなんだけどさ。これから仕事で遠くの方に行くから泊まり込み頼みたいんだけど」

「いつまでですか?」

「明後日の朝まで」

「いつからですか?」

「……今から」

「……嫌です」

「頼む、この通りだ」

「……」

「残業代は弾むからさ」

この研究室は地下にある。夜に出入りする時に真っ暗な廊下を通るため冗談抜きで怖い。しかも研究室にいると噂のせいか、気にしすぎてしまってるのかもしれないが、たまに変な物音がするのだ。

なかなか引き下がらないくられ先生に対して、私は渋々了承した。私も最初からそれしかないと分かっていたけど。

「助かるよ。やるべき事はもうノートにまとめてあるから」

「はぁ……事前に言ってくださいよ……。残業代期待してますからね」

彼は「本当に助かるよ〜。それじゃあよろしく」と言うと、リュックに薬品を入れ始めた。やけに急いでいると思ったら、どうやら5時半に迎えが来るらしい。この人は本当にいつもいきなりだ。

彼は階段の前で突然立ち止まる。

「それじゃあ頼んだよ」

先生は振り向き、ポンポンと私の肩を叩いてから、急ぎ足ででていった。先生を見送ると、1人になる。

静かな部屋が、とても広く感じる。1人、ソファで寝転んでみた。真っ白な天井を見つめる。

「くられ先生って……お父さんみたいだな」

誰もいない部屋に私だけの声が響く。

「じゃあ……ゾムはなんなんだろ……。ていうか、どうしてゾムはこんなに私に構うのかな……?」

寂しさを紛らわせるように、私は目をつぶった。

*→←*


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みやこ - 貴方様が紡がれるストーリーやキャラの描写、言葉選び全てがあまりにも素晴らしく、飲まれるように一気に拝読させていただきました。zmと夢主の関係性やこの後の展開がどうなるのか思いを馳せながら続編が開く時が来るのをとても楽しみにしております。ご自愛ください。 (10月15日 2時) (レス) @page50 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
- もっと早くに見つけてればよかった…!!!めちゃめちゃ好きです、続編開くの待ってます…! (8月25日 14時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
暇人パーリナイ(プロフ) - とても素晴らしい作品で愛読させていただいてます、続編が開放される時を楽しみに日々過ごしています。更新頑張ってください。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: 6c369c24d6 (このIDを非表示/違反報告)
mailnoadodapo(プロフ) - 何かもう最高すぎてやばい……やばい!!←大事なことなので2回言いました、貴方の作品初めて読んだんですけど、まじで好きです (*´ω`*)これからも推させていただきますね (2020年7月8日 4時) (レス) id: 71f963574a (このIDを非表示/違反報告)
おじ - 久しぶりの更新とても嬉しいです!疲れない程度に更新頑張ってください! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 9cde916c26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かよ | 作成日時:2019年5月16日 0時

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