災厄の始まり ページ1
手櫛で髪を一つに結び、着慣れた作業着のチャックを引き上げ、鏡の前でくるりと一回転する。
「ん！Okかな！」
忘れないようにとドアにかけてあるネームタグを首にかけ、部屋に出た後ドアの鍵を右に傾ける。
しっかりとした感触が伝わると、ジャラジャラとたくさんつけられた鍵をズボンのポケットに入れた。
家を出て、職場へ向かう。今日の空は雲ひとつなく冴え渡っている。しばらく歩くと〈A 307 兵器開発研究所〉と書かれた部屋の前に着いた。
だけといつものように「おはようございます！」と明るく挨拶することは無かった。
「おはよ………っ！」
タイムカードを切ろうとしたところで誰かが勢いよくドアを開けたせいでおてこにぶつかって尻餅をついてしまった。
なかなか痛い。文句の一言でもいってやろうかと顔を上げると、私の言葉は飲み込まれた。
「……え？」
「ごめんね！あたしの不注意で…あらら、おでこに跡がついちゃってる…」
私は彼が屈み、私の額に触れようとするのを全力で阻止するように1歩下がり土下座した。
｢もっ、申し訳ございません！大変な非礼を心よりお詫び申し上げます！！｣
彼は私の顔を上げさせると目をぱちくりと瞬かせた。やはり美人だなと心で思ってしまう。
｢あれ……君もしかしてAさん？｣
｢えっ……何故私の名前を？｣
｢ちょうどAさんを探していたところだったの。ほら、これ｣
彼はどこからか綺麗に四つ折りされた紙を取り出し私に差し出す。周りの野次馬達がわっ！と沸く。
そりゃそうだよね。だって――オスマン様だもの。
この国を統べる幹部の1人。いつも穏やかで余裕のある笑みを浮かべており、頭がとても切れる。さらに、容姿端麗と来たもんだからとても人気が高い。
政府の元で働いてる私たちでさえ実際にお目にかかれる機会はなかなかない。私は3階で勤務しているが、彼らは7階にいるらしい。ちなみに5階以上は立ち入り禁止となっている。
写真に何万を出して買う人はごまんといる。そのくらい今の状況は価値があるのだ。
美しい佇まいだな、なんて見惚れていると彼は｢それじゃあ｣と言って去っていった。
なんだったんだろ……と思い、渡された紙を丁寧に開いていく。
私は息を飲んだ。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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みやこ - 貴方様が紡がれるストーリーやキャラの描写、言葉選び全てがあまりにも素晴らしく、飲まれるように一気に拝読させていただきました。zmと夢主の関係性やこの後の展開がどうなるのか思いを馳せながら続編が開く時が来るのをとても楽しみにしております。ご自愛ください。 (10月15日 2時) (
レス) @page50 id: 2340b31398 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - もっと早くに見つけてればよかった…！！！めちゃめちゃ好きです、続編開くの待ってます…！ (8月25日 14時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
暇人パーリナイ(プロフ) - とても素晴らしい作品で愛読させていただいてます、続編が開放される時を楽しみに日々過ごしています。更新頑張ってください。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: 6c369c24d6 (このIDを非表示/違反報告)
mailnoadodapo(プロフ) - 何かもう最高すぎてやばい……やばい!!←大事なことなので2回言いました、貴方の作品初めて読んだんですけど、まじで好きです (*´ω`*)これからも推させていただきますね (2020年7月8日 4時) (レス) id: 71f963574a (このIDを非表示/違反報告)
おじ - 久しぶりの更新とても嬉しいです！疲れない程度に更新頑張ってください！ (2020年1月5日 20時) (レス) id: 9cde916c26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かよ | 作成日時：2019年5月16日 0時
