第９話 ページ9
１０月２４日、ハロウィンを翌週に控えた金曜日、朝の冷え込みが思ったよりもキツくて目が覚めた。
寒い、と呟きながらベッドから降りて寝間着から着替える。
靴までしっかり履いて落ち着いたところで、勉強机に乗せたままだった携帯に触れた。
いつもは大したメッセージも届きやしない悲しい端末だったが、今日は何件か深夜にメッセージが届いていた。
「チャチュリヒョンニムとガンウヒョンニム……わざわざ時差の計算してくれたのか」
ぴったり１２時に送って来たのはガンウ兄で、１分遅れてチャチュル兄のメッセージが届いていた。
実家に居た時は兄たちが盛大に計画してくれていたのでビックイベントだったが、父とこちらに来てからは時間に追われており、忘れがちだった。
初めてアメリカで祝う事になった去年は、兄たちからのメッセージがあったにもかかわらず、学校に着いたら忘れており、結局１日遅れでドーナツを購入してひっそり祝った記憶があった。
この時期はハロウィンの準備でなにかと忙しいので仕方ないと思う。
後から誕生日を知ったアメリカでの友人達には、来年はホームパーティに呼んでくれ、と言われていたから、今年はそれなりの準備をしていたが、そう言われていなければ確実に流れていただろう。
兄たちにまだ大学の話はしていない。
少しだけ後ろめたい気持ちを抱えながらお礼の返信をして部屋を出た。
いつもより一時間ほど早い起床時間。
朝の内に今日のパーティ用のメニューの最後の仕上げをしておくつもりだった。
普段は手抜きの朝食も少しだけ真面目に汁物とおかずを用意した。
平日はしない料理でも、家に二人しかいなくてしかも相手が父であれば腕を磨くしかない。
同年代の中では偉い方、そう暗示をかけながら朝食を食べ、仕上げに手を出した。
メインは大抵友人が持ってくる。
空腹のまま御開きとなって困るのは彼らなのだから納得だ。
しっかり用意し終えたディナーをしまってから部屋に戻りバックパックを背負う。
最後に一度だけ確認した携帯の画面は、新たに一件のメッセージを受信していて、そこに記された名前とビデオメッセージである事を示すマークに息を飲んだ。
「ユナ……」
着信は一時間ほど前。
震える指で叩いた画面に表示されたのは間違いなくユナの顔で、彼女の後ろに写り込んでいる周囲の様子から、それがちょうど半年ほど前のあの日の船内で撮られたものであることが察せられた。
冷える指先で再生を押した。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (
レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U_hi | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時：2018年2月19日 2時
