第８話 ページ8
ボンヤリとした意識の中で終わってしまった夏の帰省から帰ってくれば、また忙しい日々が始まる。
様々な事のあった高校生活一年目は、苦いどころでは無く、深く深く胸の奥に傷を残して傷薬も渡さずに何処かへと行ってしまった。
目の前にはもう、怒涛の高校生活２年目が待ち受けていた。
ユナの事をしっかりと受け入れる事は半年もいかない今はまだ不可能で、忙しさを理由に事実から目をそらす日々だった。
父がそんな自分を心配しているのはわかっていたが、こればかりはAがどうにかしようとして出来る話ではなかった。
「大学は、アメリカで行こうと思います」
「Aそれは、戻らないということか？」
「……少なくとも、大学の４年間は」
「そうか」
父の仕事の都合でこちらに居るのは三年の予定、つまりAがちょうど高校を卒業するまでのはずだった。
昨年の夏にこの地に来た時は三年こちらで学んで大学は韓国に戻るつもりだったので、父にしてみれば目から鱗の話のはずだった。
けれど父は特に怒ることはなく、難しそうな表情を浮かべて食事を続けた。
何を考えているのか、その全てを想像する事は出来なかったが、大きな一つの問題として兄たちの存在が浮かんでいるだろうと思った。
Aが言って良いのかわからなかったが、長兄であるチャチュル【차출】も、次兄であるガンウ【강우】も末っ子である自分に対して過保護な面があるし、A自身、兄たちの愛を強く感じていた。
違う高校に進んだチャチュルとガンウはAがどちらの高校に行くかを争って一週間ほど壮絶な喧嘩を繰り広げていたし、アメリカに行くと告げた際には、それぞれ高校と大学に在籍中だったにもかかわらず、ついて行くと駄々をこねた。
夏の帰省の際は、韓国とアメリカ、どちらに居た方がAの負担にならないのか判断がつかなかったらしく、戻って来いとも、あちらに居ろとも言われなかった。
そんな彼らにはAが大学には帰って来るという確信があったわけで、それが覆るとなれば多少なりとも騒ぐだろうというのは想像に難くない。
「だから、これから忙しくなると思います。校内校外問わず、ただの勉学以外も重要な評価ポイントになるので」
「わかった。……無理はするなよ」
そう言ってこちらを見た父は、きっとAの思惑などお見通しなのだろう。
何から逃げて、何を恐れているかなど。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (
レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U_hi | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時：2018年2月19日 2時
