第39話 Side/Bangtan Boys ページ39
返された言葉の意味を理解することは出来なかった。
言葉の真意を測りかねて、じっと見つめてみても彼が視線を合わせることはなくて、それがなんだか無性に腹立たしく感じた。
「ユナの、知り合いなんですね。ユナがこれのことを、他の人にちゃんと説明しているとは思いませんでした」
「どういう意味?」
「……? そのままの意味ですよ? でも少し、安心しました」
話す相手がきちんといたみたいで、と一人で何かに納得している様子だ。
残念ながらテヒョンには何も伝わらないし、結局自分が知りたいことは何も教えてもらえていない。
もう一度同じ質問を重ねても、相変わらず青年は煮え切らないような、回りくどいような言葉を返してきて、話が噛み合わなかった。
周りからはよく四次元と言われるテヒョンだったが、別に話が噛み合わない状況が好きなわけではない。
無意識に苛立ちが溜まっていたのか、放しそこなっていた青年の手首に力が加わってしまったらしく、痛っ、と青年が短く声を上げた。
その声にハッとして、慌てて謝罪の言葉を口にする。
「弟から手を、放してもらえませんか?」
その謝罪の声に被さる様に冷たい声が響いて、弾かれたようにテヒョンは青年から手を放した。
テヒョンの後ろ、入口の方からやって来た男は、入店時に店主と話していた男性だった。
テヒョンに対して酷く冷たい視線を向けている男性は、テヒョンより少しだけ背が高く、丁寧な言葉を話しているにもかかわらず、威圧的な空気を纏っていて、背中を嫌な汗が流れた。
掴まれていた手を、もう片方の手で擦っていた青年を庇うように背中に隠して、チラッとテヒョンに視線を向けてから青年に向き合った。
「思ったより長くかかってしまってごめんね。大丈夫かい? ……お兄さんも、もうこの子に用事は無いですよね?」
男の言葉に、青年がコクコクと頷きを返すのを確認した後、声のトーンを変えて再びテヒョンに向き合った男に、咄嗟に頷く。
これ以上青年に話しかけるのが不可能だと悟るのに時間はかからなかった。
訊きたいことはまだあったが、去っていく男と青年に再び声を掛けられるはずもなく、その姿が見えなくなってからテヒョンは安堵の息を吐いた。
「テヒョナ、ごめん、結構見ちゃってて……大丈夫?」
「大丈夫……」
何も知らなそうなジミンにグットサインを送る。
気分転換に紛れた、初体験の恐怖。
忘れた方が良さそうだ、と判断して笑って見せた。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します!これからも頑張ってください! (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:U_hi | 作者ホームページ:http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時:2018年2月19日 2時