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第26話 ページ26

行くのか、と朝食後しばらくして玄関に向かったAに声を掛けたのはガンウだった。

履きかけていた靴を脱いで、次兄に向き合う。

此方を気遣うような表情に、胸が痛んだ。


「無理してないか?」

「大丈夫ですよ」

「本当か?」

「……夏の時よりずっと、落ち着いているんです。今ならユナの家にだって行ける気がします。コレを逃してまた夏を待つのは……。それじゃダメなんだと思います」


夏に帰国した際の自身の精神状態の悪さに対する自覚は充分だった。

本当に酷かったとわかっているから、今は多少マシになったという事もわかる。

昨日、進路の事も話せて、少しずつユナとの約束を果たすために前に進む努力をしてきて。

ちゃんと話すことのできなかったユナのご両親とも、きちんと話す義務が自分にはある気がするのだ。


「そうか。……あのアプリ、お前の役に立ったみたいで良かったよ。オレもなかなかだな。ユナの言葉が聞けて、オレも嬉しかった。送ってくれてありがとうな」

「ガンウヒョンニムのお陰ですよ、本当に。だから、今日は……」

「見せるのか、ご両親に。……そうだよな、多くの人が聞きたくても聞けなかった言葉だもんな」


ゆっくりと言葉を探しながら、ガンウが言葉を重ねて、優しい言葉を振りかける。

自分はそんなにひどい顔をしているのだろうか。

昨日チャチュルがしたようにAの髪を撫でて、頑張れよ、とストレートに励まされた。


「事案が事案なんだ。何を言われてもおかしくないが……少なくともオレは、お前が悪かったとは思ってないよ。帰り、待ってるからな。ちゃんと帰って来いよ」

「……はい、ホームは此処だけですから」


差し出された手の平に手の平をパンッと合わせて、장 (張)兄弟独特のFist Bumpが始まった。

考案はチャチュルで、気合を入れたいときや、何かがうまくいったときによく行う。

もちろん、今回の場合は気合を入れる応援、という意味合いだ。


家を出て、まず向かったのは歩いて20分ほどの距離にある母の家系が代々継いでいる塾だった。

初めてユナと出会った場所でもある。

二人でよく話した塾の近くの大きな木の下に立って、眩しい空を見上げる。

少しでも勇気がもらえれば良いと思った。

話し続けることができる力を得られれば良いと思った。

五分くらいはぼんやりと空を見上げていて、再び歩き出して十五分ほど。

何度か尋ねたことのあるユナの家の前に着いた。


深呼吸をして、チャイムを押す。

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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します!これからも頑張ってください! (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:U_hi | 作者ホームページ:http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/  
作成日時:2018年2月19日 2時

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