第２５話 ページ25
自分のあれくらいの行為で騒ぎになるとは思わなかったが、もともと服のデザインは良いのだし、この国にはもたらす人物がいなかっただけなのだろう。
いいマネキンになれて少しでもユーゴに日ごろのお礼ができたようで嬉しかった。
『良いコーディネートをありがとう。また何かあったら連絡して』
返信は短くなってしまったが、要は礼が伝わればいいのだ。
そう思って送ったメールには、五分と待たずに“OK.”と短い返信が来た。
時間が空いてしまったので、部屋に置いてあるギターを手に取った。
数少ない荷物の中に含まれていたギターケース。
服には多少合わない感があるかもしれないと思ったけれど、ユーゴは問題ない、むしろいい感じ、と言ってくれたので結局持って帰ってきてしまった。
韓国には二週間ほどいる予定で、趣味とはいえ、その間ずっと触れないのは不安だったのだ。
ケースにはアメリカに行くときにユナがくれた手作りのウサギの人形がついている。
困り顔をしているそのウサギは、白と薄いピンクの混ざった様な綺麗で柔らかそうな色合いをしていて、それなのに付けているマスクが黒で、着ているＴシャツも黒色というギャップ性に溢れている。
Ｔシャツの表にはＹＹＹと白抜きで書かれていて、裏には“Don't touch my heart.”と同じく白抜きで書かれている。
手のひらサイズだが、ユナのこだわりに溢れていて、寂しいと死んでしまう、というウサギの性質もヌナに似ている気がして、ずっと大切にしてきたものだった。
『ＹＹＹのＹには色々な意味があるの。本当はちゃんと文にしたかったんだけど、うまくいかなくて……』
『どんな意味があるの？』
『まずは、ユナのＹ。Yunaだからね。あとは、Youthとか、Yourselfとか……あと、Yours？』
『大胆ですね、ヌナ……』
『いいじゃない、別に。ずっと持っててね、浮気しちゃダメだよ』
『わかってるって』
結局、浮気どころの話ではなくなってしまったけれど、このマスコットを外せはしなかった。
――いつかは外すことになるのだろうか？
でもそのいつかは果てしなく遠い場所にある気がして、Aにはその未来が想像できなかった。
くだらない考えを頭から飛ばして、チューニングから初めて適当に音を出す。
それなりに壁は厚いはずだったけれど、早朝なので音は遠慮がちだ。
最近はやりの曲を聞きながら、スローテンポアレンジを加えて時間を潰す。
覚悟の決まった、穏やかな朝だった。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (
レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U_hi | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時：2018年2月19日 2時
