第３話 ページ3
恋人であるユナの、不安げな声を聞いて自転車から降りた。
まだまだ家までは多少距離があったが、電話を切ってまで急ぎたい距離では無い。
左手で自転車を支えながら歩く。
意外と体力や筋力が必要だったが、友人達との普段のお遊びが功を奏したようで、自転車を倒してしまうということはなかった。
「状況はわかりそう、ヌナ？」
『あんまり……混乱しちゃってるみたい。よりによって高校生が沢山いるわけだし。でも、今のところ待機命令しか出てないし……』
「危なそうだったら、指示待たないでいいと思う」
『うん。でもそれは最終手段。私たちは今学年で来てるんだから。集団行動は大事でしょ？』
「でも、ユナ……」
『ただでさえ混乱してる船内で、私たちが皆で勝手に動いちゃったら混乱が大きくなるじゃない。……たぶん大丈夫だから』
だったらいいけど、とユナの優等生らしい返しに応える。
状況がよくわからない自分が口を出していいのかはわからなかったが、何だか不安を懐かせる状況だった。
とにかく、せっかくの修学旅行だと言うのにユナたちは災難だ。
これは卒業までブツブツ言われるアクシデントだろう。
そのまま数分会話を続けていると、バッテリーの充電を進めるメッセージが画面に現れた。
断りを入れてから一度電話を切る。
ユナは旅行ということで携帯バッテリーを持っているから問題ないらしいが、こちらはそうではない。
掛け直す事をしっかりと約束してから自転車にまたがった。
家に着いたのは7時を過ぎた時間だった。
いつもより遅めの帰宅時間に父はやや心配そうな表情だった。
夕飯は後で、と父に告げて部屋にこもる。
多くの説明はしなかったが、何かを感じ取ってくれたのか、追求はしてこなかった。
長くなりそうなら部屋に持って行ってあげるよ、という優しい言葉を背中に受けた。
充電をしながら落ち着いて時計を見て時間を確認した。
だいたい十四時間の時差があるわけだから、今頃あちらは午前九時半頃だろう。
ユナから最初の連絡を受けて、それを切ってから三十分ほど経過したことになる。
ただの事故であればそろそろ終結している頃合いかもしれないと思いながら、発信ボタンを押した。
一回目は一分ほど鳴らし続けても応答がなかった。
行動中なのかもしれないと思い、昼食の入っていたランチバックをキッチンに持って行き、冷蔵庫からミネラルウォーターを出して部屋に戻った。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (
レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U_hi | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時：2018年2月19日 2時
