第２０話 ページ20
久しぶりの家族揃っての食事は豪勢で、とっくに成人しているチャチュルと、父と母用に高そうなお酒も置いてあった。
母は酒に強いが、父はあまり強くない。
兄のチャチュルが飲んでいる姿はあまり見たことがないが、果たしてどちらに似ているのだろう。
顔は間違いなく父に似て、良い筋をしているが少しだけ眠そうな顔立ちだ。
気だるげな感じが溢れていて、その分、怒り方が冷めていて恐ろしい。
チャチュルはパクパクと食べものを詰め込んでからチマチマと酒に手を出し始めた。
父と母はゆっくりとしたペースで食べながらアメリカでの出来事を話している。
時差ボケはあっても不思議と食欲はいつも以上にあって、置かれている皿から次から次へとおかずを取っては口に運ぶ。
何だかそういう専門の輸送機械になった様な気分で食べていたが、いつ食べても母親の料理というものは美味しかった。
普段は食に頓着しないことも多くて、会うたび兄たちには「お前がいつ倒れるかいっつもひやひやしてるよ！」と言われるくらいには平均体重を割ってしまっているが、食べることが嫌いなわけではない。
前に座った長兄の顔が、兄というより保護者目線になってきていることに気づきながらも、できるだけ気にせず食事を続けた。
遠く離れたアメリカで過ごす時間が長くなってから、兄たちの過保護具合は増したように思う。
けれど、同い年でも同じような反応をヨハンとAに対して見せるロニーやユーゴの存在を知ってからは、世の中そんなものなのだろうと思うようにしている。
記憶違いでは無ければ、二人とも一人っ子で兄弟はいないはずだ。
「そういえばA、お前大学はどうするんだ？ 個人的にはオレと同じ大学に来てほしいけど、流石に文系に進みたいなら、チャチュリヒョンニムと一緒の方がいいのか？」
「あぁ、そのことだが……A、自分から言えるか？」
父の話すよくわからない仕事の話に飽きたらしいガンウが、何気ない様子でAに話を振った。
ちなみにチャチュルは最初からガンウとAの食事風景しか見ていなかったし、外面の良い兄貴様なので笑顔で相槌を打っても話の中身など右から左だろう。
Aに話を振った父の、その雰囲気の微妙な変化に母と兄たちは機敏に反応して真剣な顔をAに向けた。
「――アメリカの大学に、留学しようと思ってます」
時間が止まることは有り得ない。
けれど、少なくともこの瞬間、兄たちの時間は止まっていた。
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はちうん(プロフ) - 繭さん» ありがとうございます。意識はしているのですが、たまに変な文章を書いてしまうので、そう言っていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月14日 16時) (
レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
繭(プロフ) - コメント失礼します。はちうんさんの文風がすごく読みやすくて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 13時) (レス) id: dba4d43671 (このIDを非表示/違反報告)
はちうん(プロフ) - KNさん» コメントありがとうございます、嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね。 (2018年3月12日 7時) (レス) id: 0891d2b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
KN - コメント失礼します。この作品すごく好きです。毎日チェックしてます(笑)文章がとても綺麗ですね!これからも応援してます!ファイティン! (2018年3月12日 0時) (レス) id: de585078da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U_hi | 作者ホームページ：http://id35.fm-p.jp/408/yuna3lone/
作成日時：2018年2月19日 2時
