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まさか、カイからその話を振られるなんて。
心の準備ができておらず、私は少し気持ちを整えるために頭をかく。
「ああ、うん。ごめんね。そのこと謝りたくて…」
『謝る?なんで?』
「私がスビン先輩の告白の事口止めしたから、カイは言わないでいてくれたんでしょ?」
カイは私の言葉を聞いて一瞬目を丸くした後、笑った。
『ああ…』
「でも、それならそうと私にその理由を言ってくれたら良かったじゃん。ボムギュがそれを言わなかったから怒ってるって」
『…それは、』
相変わらず笑いながらも、カイは少し悩むような顔をした。
その表情にピンときた私。
「…もしかして、ボムギュの気持ち…、知ってた?」
その言葉にカイは動きを止めた。
びっくり、という言葉がピッタリの表情で
私を見つめる。
『…えっと、そ、それはどういう…』
「知ってたんだ」
『えっと…、』
カイは言葉を探しながら、頭を抱えた。
私が口止めしたからだけではない。
私の秘密を守るのと同時に、ボムギュが私の事を好きだと言う秘密も守ろうとしたのだろう。
板挟みになって困惑したはずなのに
最後まで自分が犠牲になったカイ。
…どうしてこんなに、人のことばかりなのかな。
もう全部バレてるというのに
今だって大きな身体を小さくして、どうしたらボムギュの気持ちを私に知られぬようにと、考えてて…。
そんなカイを見ながら、何故だか少し目頭が熱くなった。
泣きそうというのとは少し違う。
今のカイを目に焼き付けたかったんだ。
私はカイに声をかけた。
「ボムギュにね、告白されたの」
『え』
「もちろん、付き合うとかは今は考えられない。ボムギュも冗談みたいには言うけど私に答えは強制してない」
『ああ…、そっか…。それでAも知ってたんだ』
「うん…」
きっと、カイだけじゃなく、アミもテヒョンも
ボムギュの気持ちを知ってたのだろう。
知らなかったのは私だけだ。
私達は友情で繋がってる。
だから一生仲良しでいられるなんて
思っていたのもきっと私だけ。
そう思うとなんだか少し、みんなとの距離を感じて寂しくなる。
そんな事を考え、私はつい黙り込む。
口を閉じた私が、ボムギュからの告白の事で悩んでいると思ったのだろうか。
カイは私に向かって口を開いた。

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作者名:ことり | 作成日時:2024年10月6日 9時